・第二次世界大戦直後のアメリカの対アジア戦略専門家たちは、「蒋介石率いる国民党政権の中国を東アジアの大国として自国のパートナーに育てる。日本は二流国にとどめておいて問題ない」と考えていたのは事実(p11)
・押付けられた平和憲法を守ることによって、戦後の日本が世界中の先進国の中でも軽い軍事費負担で、政府部門の肥大化を防ぎながら高度経済成長ができた(p13)
・非武装民間人をふくむ年間の戦争による死者数は、世界総人口10万人あたりで0.3人(朝鮮戦争時は20人、ベトナム戦争時は10人、第一次湾岸戦争は5人)まで減ってきた(p14)
・2014.7にイスラエル軍のパレスチナ地区への空爆がはじまって8月上旬に停戦合意したが、これを支持したのは、国連メンバーでは米国のみ。日本は西欧とともに棄権(17)、理事国47のうち29カ国が反対した(p18)
・ウクライナ、クリミア危機については、原油価格を引き上げて高止まりさせることに共通の利益を見出している国が、ロシアや米国(p26)
・ロシアは輸出総額の半分を石油、GDPの20%、化石燃料がらみの税収で政府歳入の5割、対外債務の利払いを考慮すると、1バレル117ドルが輸出採算点という人もいる(p34)
・現場での採掘コストがバレル50-90ドルというシェールオイルの開発に、巨額な設備投資をしたので、原油価格はそれなりの水準が求められる(p39)
・戦争危機をあおって原油価格を上げるという手が2014年になって空振りになった理由として、中国資源バブルの崩壊が歴然としてきたから、2011-2013年に中国が使い切ったセメント量(66億トン)は、アメリカが20世紀で使った45億トンよりも多かった。これは不自然な用途と思われる(p40、42)
・中国では無価値と成ったはずの理財商品が、債務不履行直前に額面で個人投資家から買い取ることで表面化しないようなことがまかり通っている。(p43)
・鉄鉱石、石炭も価格は急落する一方で、在庫は激増、電力消費量・鉄道貨車の運搬量など、生産活動が伸びているなら拡大している数字が悪化している(p44)
・中国資源バブルの崩壊は、かなり時間がかかるだろうが、市況商品の国際市場価格が、中国の大量購入で急騰する前の水準に戻ることを意味する(p44)
・商品市況の先行指標として定評のある、バルチックドライ海運指数は、2008年待つの9000という高値を抜けずに5年半にわたって下げ続けている。2014夏は700台となり、1986年以来の最安値(p47)
・世界中の商品のマーケットの歴史が明らかにしているように、強いのはカネをだして買える立場の消費者のほうで、生産者は弱い立場(p48)
・資源国が、経済全般や技術における先進国になりあがった事例は、イギリス(蒸気機関、製糸・紡績業・鉄鋼業が石炭用途拡大)、アメリカ(自動車が石油用途拡大)の2カ国のみの例外(p49)
・中国で現在建設中の大型石炭火力発電所は、新疆ウィグルで、2万550メガワット時という膨大なキャパシティ、次が山西省の6250メガ(p59)
・1814年が戦争とインフレの世紀からデフレの世紀への転換点、1914年はその逆、2014年は再び、平和とデフレへの転換点になるのでは(p75)
・11-12世紀にかけて温暖化していた地球は14世紀に寒冷化、15世紀に持ち直したが、16世紀に大底、17世紀でもまだ低かった、これは農作物の不作、飢きん、疫病の蔓延に繋がった(p81)
・スペインが新世界からもたらした金銀は、プロテスタント勢力を屈服、殲滅するための軍資金に使われた(p84)
・フランスはルイ14世がなくなる1715年までは欧州最大の金満国家であったが、100年後の1815年にはイギリスの国家収入の半分にも満たない地位となった。欧州各国に戦争をしかけたため(p88)
・軍事帝国が生まれてからの存続年数は、どの世界帝国も誕生後、200-270年で死滅している。最頻値は250年(p95)
・ベネチアを世界一裕福な都市から追い落としたのは、金銀の蓄積が高まったスペイン、ポルトガルではなく、スペインから独立したオランダのアムステルダムだった(p100)
・イギリスの国家債務が膨れ上がったのは、オーストリア継承戦争、英仏7年戦争、アメリカ独立戦争の戦費を捻出するため、しかし1980年末にはピークの230%(GDP比)から30%にまで減少(p108)
・イギリスの儲け口は、17-18世紀においてアフリカ現地人同士を反目させて、戦争捕虜とした人間を安く調達して、労働力不足の新大陸へ高く売りつけること。綿糸
・綿織物で儲けようとしたのはその後で万策尽きてから(p109)
・1830年時点では、帆船がまだ主流、鋼鉄製の蒸気船が主流となるのは1890年(p111)
・イギリスは、競走の激しい欧州圏内やアジアとの交易を避けて、新大陸との交易を舞台にしていたが、いつのまにかそこが花の大舞台となった(p113)
・戦争はたしかに企業利益を上昇させることが多いが、それは生産設備を底上げしたり、GDP全体を拡大したり、国民水準をあげるような利益率上昇ではない(p135)
・いま、アメリカは自国内の貧乏人に対する金融戦争をしかけている、アメリカの実質世帯所得中央値は、1999年の5.6万ドルでピークアウト、現状では5.1万ドル。全世帯の半分はこれ以下で生活している(p139)
・第二次世界大戦の総コストは4.3兆ドルと推計、FEDによるQEは現在までで、3.7兆ドル(p141)
・アメリカ経済において、資本財の受注は、国防・航空分野をのぞけば、2013年末の690億ドルをピークに減少している(p157)
・アメリカで生産される、モノサービスの15%は、暴力抑止産業により生み出されている。911後に設置された、国土安全保安省は、国防総省・退役軍人省についで職員スタッフで多い省になった(p165)
・明治維新以来の日本の2つの失敗は、1)1930年代からの戦時統制経済化、2)日本列島改造論による大都市圏の成長鈍化(p189)
・2014年は、アメリカにとって個人退職年金法改正から40周年にあたる、さらにベビーブーム世代の最後尾である1964年生まれが50歳となる。年金勘定は、流入超過から取り崩し超過になる(p201)
・現在FEDは、世界最大の米国債保有者であるとともに、レバレッジ60倍を超えた運営をしている。1.7%の含み損をしただけで、債務超過になる、つまり米国10年債の利回りが少し上昇しただけで債務超過になる(p205)
・17世紀は欧州基準で平和な1世紀となった、この真相は、その時期が小氷河期のどん底で、飢きん・疫病が蔓延したので戦争のための人手・資金が調達できなかった。証拠としては、無理に戦争をつづけたドイツが悲惨な国になった、温暖化になると戦争を始めた(p233)
・郊外や地方から「低俗な下層の人間が押し寄せてくること」を警戒して、不便ばな場所にしか鉄道駅を建てさせなかった、いまでも欧米大都市には、女子供が安心してたむろできる盛り場はない(p238)
・日本の大都市圏に住む大衆は、大散財をすることなく、世界中のありとあらゆる地域の料理を食べることが出来る(p239)
・江戸時代の日本の町人の大部分が、中年に達することにはいくつか習い事をしていて、そのうちかなりの人々が人様から謝礼を取って教えられるくらいに熟達していた社会環境が、サービス業雇用者の低賃金化を防いでいた可能性あり(p241)
・世界デフレ時期の投資対象としてふさわしいのは、現金・預金と、金地金、条件付の債券の3つに絞られる。カネの価値が上がるデフレ期にも、インフレ期にも金価格は上昇する。こういう二面性を持った投資対象は金地金のみ、また円はほとんどの通貨に対して急騰するので、外貨・外債・外国株は避けるべき(p248)