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summary

(日本人) (幻冬舎文庫)

(日本人) (幻冬舎文庫)の写真

・タイでは、ブンクン(恩義)が最も重要であり、富や権力を手にした人は、恵まれない親戚・職場の年下の部下を庇護することが当然とされる。受けた者は、いつでも忠誠心(チョンラックパクディー)により借りを返す(p37)

・タイ人たちは、上司の指摘が正しいかどうかに拘わらず、自分の面子を奪った(恥をかかせた)相手をけして許さない(p41)

・愛情空間にお金を持ち込む(例:デートで指輪の代わりにお金を渡す、家事に応じてお金を払う、子供の成績でお小遣い額を変える等)と、人間関係は簡単に破綻する(p64)

・新渡戸稲造は、武士道という本を、30代後半にアメリカで英語で執筆した。明治の初めの頃は、学問は外国語で学ぶもの。アメリカの大学で教育を受け、アメリカ人を妻としたキリスト教徒の新渡戸は、日系アメリカ人に近い(p69、70)

・菊と刀(日本論の古典)を書いたベネディクトは、日本人とアメリカ人の違うことを探さなければならなかった。日本占領をする米軍幹部にとって、文化・生活習慣の異なる民族をいかに統治するかが課題だったので(p73)

・ウィルスにとって致死性が高いと、感染前に宿主が死んでしまい自分も絶滅してしまう。最適なのは、症状を長引かせて大量の遺伝子を対外に放出すること(p93)

・近親相姦が禁じられると、男が子孫を残すためには、別の部族から女性を手に入れるほかはない。ちからづくで奪うか、自分の部族の女性(姉妹、娘)と交換するか。前者は自分の部族の女性が配偶者を獲得できないので、自然に交換することとなる(p100)

・50人が、顔と名前が一致する(一人を個人として識別する)限界である、多くの手段の上限が50人である(p113)

・アメリカ社会では自己主張のしない人間は存在しないのと同じなので、迷ったら自己主張する。これが生存のための最適戦略。日本では下手に目立つとロクなことがないので、迷ったら他人と同じことをする(p134)

・西洋人の認知構造が世界を個へと分類するのに対し、東洋人は世界をさまざまな出来事の関係として把握する。なので、西洋人が個人や論理を重視し、東洋人が集団や人間関係を気にする(p142)

・最澄や空海は中国語をまったく話せなかったので、筆談によってのみ意思疎通をしていた。このような制約から仏教思想は漢文の翻訳で理解するほかなかった。ありのまま訳すのではなく、自分たちの都合のいいように意訳した。文の区切り、返り点の位置を変えるだけで正反対の意味にすることも可能だった(p168)

・日本社会は、「空=世間」と「水=世俗」という二つの相反する原理で動いている。世間(空気)の拘束が強いのは、そうしなければ人々を一つの共同体にまとめておけないほど「個人主義的(世俗性が強い)」だから(p170)

・日本社会は血縁よりもイエ(会社、役所)を優先するので、露骨な縁故主義はどこでも嫌われた。なので縁故採用は、入社後はいちだん低く扱われる。この冷淡さが組織の統制を強め、合理的な官僚組織をたちまちのうちに作りあげた原動力となった(p174)

・中国人は欧米型のドライな人事制度を問題にしない。死活的に重要な共同体は血族であり、他人同士が集まる会社は大きな比重を占めていない。地縁・血縁を放棄した日本人は、イエとしての会社がなくなると所属すべき共同体はなくなる、会社は日本の男たちにとって最後の寄る辺である。同様に、妻と子供はママ友コミュニティに所属する(p183,184)

・人間関係は「場」から生まれる。それを失えば私達は孤独に戻るしかない。孤独死が増えたのは高齢化のためで、グローバル資本主義、不況により「社会の無縁化」が進んだわけではない(p187)

・文明が大きく進歩した理由として、苦手なことは他人にまかせ、自分は得意なことに集中し、足りないものは交換したから(p198)

・ひとびとが会社や工場で働くのは、そのほうが人的資本に高いレバレッジをかけられるから(p200)

・リカードは、一番(絶対優位)にならなくても、比較優位を交換することで、市場経済のなかで誰もが立派に生きていけることを証明した(p203)

・既得権を持つ国民は、ネオナチのような極右正統を結成して移民排斥を要求するようになる。福祉に冷淡なアメリカに極右政党がなく、福祉国家の見本となっている欧州各国が極右の台頭に悩まされる。福祉国家とは、差別国家の別の名称(p206)

・グローバルスタンダードは、近代の枠組み(パラダイム)のことで、それは西欧のローカルルールではない。言語、宗教、肌の色、利害の異なる人間たちが従わなければならない最低限のルール。それなしではお互いが殺しあうから(p213)

・グローバルな交易社会だった古代ギリシアでは、多数決による決定が不服ならポリスを去る自由が保障されていた(p215)

・傭兵を主体とする中世のままの国王軍は、ナポレオンの近代的な軍隊の前に敗れ去り、わずか数十年で欧州主要国は国民国家へ再編成された(p223)

・震災後もスーパーが価格を据え置いたのは、便乗値上げとしてマスコミで批判され後日、消費者から報復を受けることを恐れたから。売り手の顔の見えないネットの世界では市場原理が働いていた(p229)

・グローバル空間には絶対のルールがある。そこでは人種差別的な発言は許されない。グローバル空間では、ローカルルールはグローバルスタンダードに対抗できない(p249,250)

・アメリカ人は、自分たちだけのローカル空間と、異なる人種が同席するグローバル空間を自然に切り替える。それに合わせて態度を変えるのが当然のマナー(p251)

・アメリカ企業の能力主義は、利益を最大化するための仕組みではない。それは、能力以外で労働者を差別してはならない、というグローバル空間のルールである。なので履歴書には、生年月日・写真を貼る場所がない(p252)

・アメリカのリベラルデモクラシーに対する確信は3つの成功体験からくる、1)イギリスからの独立、2)第二次世界大戦の勝利、3)冷戦終焉(p261)

・日本の官僚は大きく三つの権力の源泉を握っている、1)官僚だけが事実上の立法権を有している、内閣法制局の審査を通った法案しか国会に提出できない、2)法律の解釈を独占して、事実上の司法権を有している、3)予算編成権を持っている。日本国の予算は、各省庁の要望を財務省主計局が総合調整したものだから(p308)

・戦前は、地租・営業税などの間接税が主力だったが、1940年の税制改正において、所得税・法人税の直接税を中心とする制度に変わり、戦費調達のための給与所得の源泉徴収制度が導入された(p318)

・ドル建てで見ると、2000年以降は日米ともに株式投資は利益を生まないことがわかる(p341)

・アメリカでは製造業ばかりかサービス業までもが、インドなどの新興国に流出(外への国際化)し、不法移民により低収入の職場を独占(内なる国際化)となり、世界一豊かだった白人中流層が没落し始めた(p349)

・アメリカでは平均年間労働時間が2200時間を越えて日本人よりも長くなった。1979年比較で、12週間分(500時間)も余計に働くようになった(p349)

・貨幣の効用が逓減するのに、評判の効用が逓増するのは、評判こそが社会的な動物である人間が求める「ほんとうの価値」だから。仲間から高く評価されると大きな幸福を感じる(p394)

・欧米社会でFacebookが普及した理由の一つとして、転職がきわめて多いから。流動的な社会では、人間関係は会社や学校のような所属先ではなく、個人史によって管理したほうがはるかに合理的(p411)