・全体としてみれば、日本の労働市場における正社員の割合は4半世紀でほとんど変わっていない、詳細にみると、新卒入社から3年で大卒男性の3割が離職するようになった。しかし、それ以降さらに3割が離職するのに10年かかっている、つまり10年後残存率は30代で7割から8割に達し、それ以降は安定する。つまり、30代になると正社員はめったに辞めない(p23、24)
・就業者全体でみれば正社員の比率はほぼ一定だが、非正規の割合は1982年の4%から2007年の12%へ増えている、この25年で何が起きたかだが、自営業者が減ったことで説明できる、自営業者比率は、1981年の27.5%から、2015年には11.1%であり、他の先進国並みとなった(p24)通説とは異なって、大手金融機関が次々と破綻し「リストラ」が起きてきた時期にも、日本企業の長期雇用慣行は温存された(p25)若い女性の非正規比率はなぜ、爆発的に増えたのか、それは「無業者」が1982年の43%から、2007年の26%へと大幅に減ったから(p27)しかし20代の正社員比率は、1982年に75%、1992年77%から急激に下がり、2007年には62%となり、若い男性は明らかにバブル崩壊で正社員が減って、非正規が増えている(p28)
・平成の日本の労働市場は、若者(とりわけ男性)の雇用を破壊することで、中高年(団塊の世代)の雇用が守られた、職を失う中高年は低学歴層に多い(p30、51)
・以上のような報道がなされなかった理由は、誰もそれには興味がないから(p51)
・2000年には、労働時間調整法が施行され、従業員から労働時間の調整について要請があれば、使用者は原則としてこれを受け入れなければならなくなった。子育て、親の介護などの人生のライフスタイルによって勤務時間を主体的に決めれるようになった(p59)
・フランスでは、黄色ベストのデモにより、その対応策として、1)2020年までに公務員を12万人削減するという公約を取り下げて、中間所得層を対象とする所得税減税、2)最低賃金をさらに引き上げる、約束をせざるを得なくなった(p61)
・マスコミも含め日本の企業、官庁、労働組合を支配しているのは「日本人、男性、中高年、有名大学卒、正社員」という属性を持つ「おっさん」で、彼らが日本社会の正規メンバー、その生活を守るためには、「外国人、女性、若者、非大卒、非正規」のようなマイノリティの権利はどうなってもいい(p67)
・2017年9月に、日本の働き方を大きく変える可能性のある、画期的な判決が東京地裁で出された。日本郵便で配達などを担当する契約社員3名が、正社員と同じ仕事をしているにもかかわらず手当、休暇に格差があるのは違法として勝訴した。これ以降、裁判所は次々と同様の判決を出すようになった。2018年9月には、就活ルールを廃止する発言があった。こうした動きは、団塊の世代が現役を引退したことで初めて可能になった(p71)
・持ち家、年金受給額20万円、金融資産2000万円を超える平均的な高齢世帯は、全体の3割、この高い基準が平均以下とされた7割の不安を煽った。報告書では、現役世代が同じような平均的家庭を望むならば、2000万円を目途に資産形成したほうがいい、という至極まっとうな提言をしている(p72)
・平成が「団塊の世代の雇用(正社員既得権)を守る」ための30年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守るための20年になる以外にはない(p73)
・現代日本社会において、下流の大半は、高卒・高卒中退の「軽学歴」層である。教育の本質は、上級・下級に社会を分断する、格差拡大装置であることを、福沢諭吉は正しく理解していた。学問に勤めれば成功できる、ということは、逆に言えば、貧人・下人なのは学ばなかった者の自己責任であるということ(p85,106)
・男女の数がほぼ同数なのに、男の未婚率のみが高い理由として、一部の男が複数の女性と結婚している。一部の男性は未婚の若い女性と再婚し、離婚した女性は再婚せずに母子家庭のまま暮らすと考えれば、男女の未婚率の違いが説明できる。これは欧米、日本のような先進国で共通して起きている現象である(p129)
・女性の未婚率が年収500万円あたりを境に横ばいに転じる、これは夫が子育てに協力し、妻も正社員としてフルタイムで働く世帯が増えていることを示す(p136)
・一夫一妻制は、非モテの男に有利、一夫多妻はモテの男とすべての女性に有利な制度である(p143)
・1960年代になると、前期近代の価値観(生き方)は、過去の歴史と見なされるようになり、古代や中世と区別がつかなくなる。好きな職業を選び、好きな相手と結婚し、自由に生きることが当たり前となった。これは巨大な変化である、18世紀半ばの産業革命においてゆたかさの相転移が起きたとすれば、20世紀半ばに価値観の相転移が起きた(p153)
・グローバル化によって世界が全体として豊かになった代償として、先進国の中間層が崩壊し、これが私達が体験していること(p195)
・アメリカ社会の構図、サイバーリバタリアン・リベラル(白人)・黒人保守派(黒人エリート)・マイノリティ・プアホワイトがあり、それぞれが対立・連帯をしている(p203)