suu3.jp 戻る

summary

投資はするな!

投資はするな!の写真

・1930年代大不況は、近代資本主義経済という大きな枠組みは不動で、その中の派遣国が大英帝国からアメリカ合衆国に代わることに伴う変動に過ぎなかったが、今回は違う。理由として、1)世界中の財政金融当局が全く検討外れな景気刺激策として必要をはるかに上回る過大投資を延々と続けてきたことのトドメが噴出している、2)今回の大不況は近代資本主義体制が崩壊して、まったく新しい政治・経済・社会の枠組みを生み出すための陣痛である(p24)その経済の仕組みとは、経済成長の成果を1とすれば、資本の取り分が限りなくゼロに近づき、労働の取り分が限りなく1に近付く世界になるということ、これはアダムスミスの理想とした社会像でもある(p29)

・今回の激動が収まるのは、日本で言えば2027年ころ、米中欧では2050年頃までは資産拡大を目指すのは待っていただきたい、なぜ日本は7年で欧米と中国は30年かかるのか、日本は約30年をかけて株式市場の経済に占める地位が半減するという試練を体験しているからで、米中欧はこれからその試練に立ち向かう必要がある。その対策としては、加齢による収入減少があまり大きくない仕事をなるべく早くから見つけておく、さらには所有しているモノを減らし、金のかからないモノやコトから大きな喜びを見出す技術を身につけるコトである(p38)

・全要素生産性とは、投入した労働の量も、投入した資本の質と量も同じだったと仮定した場合、生産高がどれだけ伸びたかを測る指標である。1990年代にサービス業が主導産業になってからの世界経済は、全要素生産性が低下した年の方が多い。同じ質、量の資本を投入するだけでは生産高が下がる時代になった(p76)

・中国はアメリカとともに没落する、あれだけ高い貯蓄率と巨額の経常黒字を稼ぎながら、中国で真っ当な事業展開をしている企業の債務は全面的にユーロダラーと呼ばれる海外に滞留し続けている米ドル資金に頼っている。貯蓄と経常黒字の大部分は国有大銀行経由で国有企業に回されているから(p98)

・なぜ自由主義陣営の盟主を自任するアメリカが本来なら最大の脅威と見なすべき中国に対して宥和な姿勢を取り続けてきたのか、中国はアメリカを代表する2つの基幹産業、エネルギー業界と金融業界にとって、美味しいお客様だったから(p107)

・年間純投資収入と対外純投資額の関係を見ると、アメリカが法外な特権と中国の深刻な苦境がわかる。アメリカは9兆ドルを借りていて(ほとんどゼロ金利の短期米国債)そのうち1兆ドルを新興国、中国などに高金利で貸している。中国は金利0%で貸している2.7兆ドルの投資と、金利8%で借りている1兆ドルの債務からなっているので、純投資収入はマイナスとなっている(p112)

・金融業界は、新商品を開発してはマスメディアで宣伝してイノベーションが活発な業界だというふりをするが、一番安定した収益基盤は、零細企業から個人世帯に至るまで手広く預金を集めて、預金金利より高い金利で融資することから生じるサヤ抜きである(p142)

・JPモルガンの預貸率が2020年9月に50%を切ってしまった、だが2011年以降、一度として70%を超えたことがない事実の方がよほど深刻である。これは、株式市場の規模が半減するだけではなく、銀行としての本業が不要になる世界が近づいたことを示唆している(p146)

・往年の名選手を先発させ続けた日経平均が30年を費やして半値戻しに止まっていのに対して、頻繁に銘柄を入れ替えている日経500は、立派に全値戻しを達成した(p156)

・円キャリーで日本株を運用する投資家がいると、借りた円が流通する分だけ円の総供給量が上がるので円安に振れる、日本株を売って手仕舞いしたら借りていた円を返すので、供給量が下がるので円高に振れる(p161)

・解散価値とは企業が保有している資産総額から、返さなければならない借金の総額を引いたもの、今すぐ事業活動をやめて負債を消し終わったらいくらしさんが残るかを示す概念で自己資本とほぼ一致する、株主が自社株買いを歓迎するのは、安全確実に売り抜けられることを含めて、将来の成長よりも現存する蓄積をなるべく減らさずに金銭化したいからである(p167)

・年金問題は日本も困っているものの、諸外国の年金問題も酷いという事実がある、2015年の時点で給付を確約している金額に対する年金資産蓄積の未達分がアメリカの28兆ドルに対して日本と中国は2位の11兆ドルになっている、しかし2050年迄にこれがどう増えるかを見ると、日本は先進8カ国の中で一番増加率が低いと予測されている(p180)

・法律で決まっているからという理由で中小に発注された工事を喜んで取りに行くゼネコンの大部分は、受注工事はすぐに施工能力のある大手ゼネコンに丸投げ (上請け)する業者が大半である(p201)

・アメリカは上位10社を除く約3400銘柄(指数の名称は、ウィルシャー5000)の平均は、2月以降一度としてプラスに転じることなく現在も約10%の低下に下落している(p213)

・テスラはまだ数少ない電気自動車の製造販売専業メーカーとして非常に大きなエンジン車販売権を獲得している、これを競合会社に売ることで当期利益への転換を達成している(p219)電気自動車は莫大なエネルギー浪費につながるし、水素燃料車に至ってはそれに輪をかけたエネルギー浪費である。実用化は絶対に絵に描いた餅に止まる(p220)

・レーガン大統領が初仕事として取り組んだのは、景気回復であった。その一つが、軍産複合体やエネルギー産業への財政刺激の大盤振る舞い、二つ目が、法人税率の大幅引き下げ、三つ目はあまり話題になっていないが、自社株買いの解禁であった(p228)

・アメリカの企業資産の有形から無形への変化に連れて、代表的な企業も交代している、最大の問題はこれほど曖昧な無形固定資産総額が企業価値を考えるときにあまりにも大きな影響力を及ぼすという事実である(p235)

・金現物を買うとき、素人は延棒で買うより、純度や重量のばらつきが少ないと定評のある造幣局が鋳造した金貨で買う方が安全である。銀現物は金の代用品にはならない。次善策は、日本円のまま破綻懸念の小さな銀行数行に分散貯蓄すること。1971年に米ドルの金兌換停止せんげんを出してからの通算で、米ドルより強い通貨は日本円とスイスフランのみである。しかしスイスフランはお勧めできない。