・誰かの 支出が誰かの所得になるプロセスを、 実体経済と呼ぶ。実体経済における、生産・支出 (需要)・所得の3つは必ずイコールになる。そして国内の生産の合計のことを 国内総生産(GDP)と呼ぶ。 GDP とは 実は生産の合計であると同時に、需要・所得の合計でもある。経済成長している国が豊かになると判断されるのは、生産というよりは「所得の総計」が拡大しているためである (p17)
・ 銀行は 借用証書と引き換えに、借り手の銀行預金口座の預かり金額の数字を増やすことで、銀行預金 という 貨幣を発行する、いわゆる 信用創造である。 銀行預金 という 貨幣は、銀行からの融資 (貸出)によって創出される 。 逆に返済されると消滅する(p19) 銀行への融資返済は消費でも投資でもない 、 つまりは 我々の手元から 貨幣が消えたとしても 誰の所得にもならない(p22)
・日本経済が本格的なデフレーションに突っ込んだのは 1997年である、始まりは 1991年前後のバブル崩壊である。日本はバブル崩壊と、 97年の 橋本 整形による緊縮財政( 消費税増税=民間の消費の削減 、公共投資削減=公的固定資産形成という需要の削減 など)により経済がデフレ化し、 GDP が全く成長しない状況に突入した、 デフレーションとは 総需要の不足である、消費と投資という支出が不足している(p21)
・ デフレとは、生産・需要・所得のパイである GDP が小さくなっていく 経済 現象である 。需要が萎む=買い手が少なくなるからこそ 、確かに物価は下がる。 だが決して、 デフレ=物価下落ではない、デフレ=需要の縮小が正しい。 GDP の縮小は所得の下落 と同じである、そして 所得の下落は次の需要を減らすことになる。給料が減った人は消費を減らそうとする 、 つまりは 次の需要が縮小する(p24)
・日本経済が全く成長していないのは、別に我々日本人がサボっている 努力していないためではない。単純にデフレ という 総需要不足 が終わらないためである。 需要が不足すると企業は投資をしない、実質賃金が下落するため 家計も消費をしない。投資や消費という 需要が増えない、つまりは支出が増えないと生産者の所得が抑制される 、生産=支出=所得である 。所得が増えない 民間は当然ながら支出を増やさない ので 需要不足は終わらない(p26)
・需要が不足するデフレーションという経済現象は合理的に動かざるを得ない 経済主体(民間)には解決することができない。デフレ脱却のためには 非合理的に支出を拡大できる政府のパワーが必要なのである。 ところが 政府 自ら 公共投資という 需要を削減し、 さらには 民間最終 消費支出という 需要を抑制する消費税増税を繰り返したので、 四半世紀の 長期間にわたってデフレーションに苦しめられた(p28)
・高齢者が医療や介護を受けるとは、高齢者が医療サービスや介護サービスに支出し、政府が代わりに払っているという意味を持つ。高齢者が自腹を切ろうが 政府が払おうが、医療サービスや介護サービスの生産が行われ 所得が創出されていることに変わりはない。 ただし 年金は、政府から高齢者への所得の移転であり、政府が財やサービスを購入しているわけではないため、直接的には需要(GDP)は増えない(p31)
・デフレギャップの国は経済成長しない。 日本はなぜ高度成長したのか、 人口が増えていたからではない、当時の日本の総人口の増加率はせいぜい 毎年1%程度(生産年齢人口でも1.7%程度)にすぎない。高度経済成長 期の日本の輸出依存度は10%に達したことはない、 ちなみに 2020年の日本の輸出依存度は12.7%である。 日本に高度成長をもたらしたのは、人類史上空前と言っても過言ではない「生産性の向上」であった(p38) つまりは、総需要が供給能力を上回る インフレギャップ と、生産性向上の投資こそが 経済成長の肝である、 つまりは政府は 総需要が供給能力を大きく上回る インフレギャップ状態になるまで、支出(政府最終消費支出と公的固定資産形成)を 拡大する必要がある、 あるいは 民間の消費拡大を誘引する消費税の減税 もしくは 廃止 、 さらには 高齢者の消費を増やすために年金を増額すればいい(p41)
・生産者が生産する材や サービスの価格が上がれば自動的に所得も増加する、単価が10%上がれば生産者の取得 も 10%上昇する。 しかし財やサービスの生産者が外国の場合 話は別である、 価格が上昇した際に所得が増えるのは外国の生産者であり 日本国民ではない。デフレーションが続き 日本国民は相変わらず 所得の下落に苦しめられている状況であっても、輸入物価上昇により物価は上昇してしまう 点 いわゆる コスト プッシュ型 インフレである。これに対して高度成長期の日本は、需要が牽引する形で物価が上昇した、これをデマンド プル型 インフレと呼ぶ。この場合 確かに物価は上昇するか、国民の取得は少なくとも確実に増える。 コスト プッシュ型 インフレにおいて 政府がやるべきことは一つしかない、国内の消費と投資という 需要を拡大することである、年金支給額を引き上げれば間違いなく 需要が増加し デフレギャップは消滅に向かう(p46)
・ロシアやアルゼンチンは自国通貨建て国債の債務不履行に陥ったが、 両国 ともに 固定為替相場制を採用していた、この場合 自国通貨建て国債は、 ドル建て国債になる。ロシアは 原油安、 アルゼンチンは主要輸出相手国 ブラジルの為替 切り下げにより 急速に 貿易収支が悪化した、貿易赤字が膨らむと自国通貨からドルへの両替が激増するため、政府は外貨準備を取り崩し 自国通貨の買い戻しを継続しなければならない、 最終的には、償還もしくは 利払いが不可能になり 財政破綻となった(p61)
・ 内閣府の試算では海外の赤字( 日本の経常収支の黒字)を 今以上に膨らますことは無理と考えたようで、民間の黒字を削減することでPB黒字化 を達成するシミュレーションになっている。大企業・富裕層優遇の色が濃い 日本政府が民間に犠牲を強いることは間違いなく、多数派の普通の国民を今以上に 貧困化させる政策につながる。具体的には 消費税増税や社会保険料 引き上げ、医療費の自己負担 引き上げといった家計への負担増の押し付け、加えて 各種の政府支出のさらなる 削減である。政府のPB黒字化 目標がある限り、我々には貧しくなる 未来しか存在しない(p76)
・日本政府の債務残高(2015年時点)は、名目の金額で1872年の3740万倍 、実質でも1885年の546倍になっている 。なぜここまで 政府の債務が激増したのか、 理由は 明治以降日本経済の生産性が高まり 生産量が増えたためである。 政府が貨幣を発行しなかった場合 日本は常にデフレの状況に陥り、経済成長しなかっただろう(p81)