・大きな歴史の見取り図をもとに言えば、13世紀初頭に始まった資本主義が最終局面を迎えている、投資をしても利潤を得ることが極めて困難なので、利潤が得られるのであればなりふり構わない「蒐集(しゅうしゅう)」を行うようになった、これがグローバリゼーションの正体である(p4)
・資本主義の終焉という歴史の危機を乗り越えるために必要なシステムは、結論を言うと、このあと世界が100年かけて移行していく「閉じた帝国」が複数並び立つ世界システム(p16)
・これまで5000年の金利の歴史において、2.0%という水準を複数年にわたった切ったこと(資本を投下しても利潤が獲得できない)は過去に一度、中世から近代への移行期である、1611-1612年のイタリアのジェノバのみ、実物投資空間から資本が蒐集できなくなったことを意味する(p17、19)
・長い16世紀に起きた大転換とは、陸の中世封建システムから、海の近代世界システムという変化、陸で囲まれた地中海という閉じた経済から、七つの海でつながった無限の経済圏で資本を蒐集するようになった(p19)
・オイルショック(1973)までは、交易条件が1を超えていて(仕入れが売り上げの比率)先進国が有利、それ以降は資源国が有利となった(p31)
・富の追求という経済的側面から見れば、中世と近代の間に断絶はない、中世と近代を分けて考えると資本主義の本質を見誤る(p34)
・15世紀末の「印刷革命」が、地中海世界と北部欧州を結合(これによりオランダの長期金利は6.3%に上昇)、19世紀の「動力革命」が欧州と新大陸(南北アメリカ)を結合、20世紀末の「IT革命」で全地球を結合した、現在の第四次産業革命は、工場をインターネットでつなげるIoT、ビックデータ活用、AIの活用である(p59、73)
・金利の下限をなくす最も簡単な方法は、現金を廃止、電子マネーに切り替えること、マイナス金利により中央銀行が徴税権を手に入れ、民主主義の破壊となる(p83、88)
・最低金利国は、イタリア→オランダ→イギリス→アメリカ→日本、と変遷してきた。これは高い利潤を上げることのできないくらい成熟した経済に到達していることを占める(p107)
・16世紀のスペイン皇帝は何度も借金不払い宣言をして債務を逃れてきたが、イギリスは1688年の名誉革命で国債を発行して資金調達をした。国家債務の信用力は、国家のモノの生産力であった、イギリスは、東インド会社・南海会社・イングランド銀行を設立して信用を高めた(p113、114)
・1991年のバブル崩壊は、際限のない生産力増強は国家の信用を崩壊させるとわかった点で、1559年のカトー・カンブレジ条約と同じ位置づけ(p115)
・2016年10月に、習主席は「核心」の称号を得て権威を高めた、これを得たのは、毛沢東・鄧小平・江沢民だけ(p121)
・真っ先に大海原に出たのは、地中海世界という閉じた世界で利潤を得られなくなった、スペイン・ポルトガル、それを経済的に支援したイタリア。しかし海を渡った先の陸で、陸の国としての古い統治方法をつづけた、オランダ・イギリス新しいルールを自国に有利になるようにつくりあげた(p123)
・世界経済は次のうちの1つしか選べない、1)ハイパーグローバリゼーション+国家主義(新自由主義)、2)ハイパーグローバリゼーション+民主主義(世界政府)、3)国家主権+民主主義(国民主権国家システム)、これらはいずれも資本主義の終焉という危機に対処できない。現代の危機は、西ローマ帝国の崩壊に近い(p133、139)
・ゼロ金利であった日本とドイツの21世紀の将来像は全く異なる、アメリカの金融・資本帝国とどう向き合うか、その姿勢の違いがあったので(p145)
・1ドル360円で為替が固定されるとともに、金1オンス35ドルと交換比率が決められた(p146)
・アメリカはドルの一層の下落を防ぐべく、日本と欧州(ドイツ)に利上げ回避を要請した、これが1987年のルーブル合意、それにたいして日本は利上げできなかったのでバブルが加速した、ドイツは1987年9月に利上げした(p149、150)
・実物経済で成長が見込まれないと、過剰マネーは、土地・株式に流れ込む(p167)
・中世システムにおいて、資本主義は周辺に位置づけられていた、資本家=高利貸し(商人)であった。中世社会の中心は、キリスト教関係者と封建貴族で、周辺に農民がいた。その周辺に、高利貸し・娼婦・宿屋、がいた(p177)
・教会は商業目的の会社には法人格を与えず、商人が資本を蓄積することを認めなかった、1代限りのパートナーシップ(組合)だけを認めた。高利貸しが築いた富は相続の段階で、教会・貴族が没収した(p177)
・主権国家とは、血みどろの宗教戦争を棚上げするための試みであった(1648:ウェストファリア条約)都市国家では小さすぎるし、神聖ローマ帝国では大きすぎるので、主権国家が誕生し、国境が画定した(p180)
・コペルニクス革命のポイントは、1)特権的な地球を、金星・木星と等価なものとした、宇宙は均質な空間となった、2)宇宙は閉じた空間ではなく、無限空間である、こうした宇宙観の転換は、政治・経済システムに大きな影響を与えた。さらに1世紀遅れて、ニュートンが時間も無限であると証明した、これが会社や貨幣の在り方を変えた。1602年にオランダ東インド会社が法人格を取得し永遠の生命を獲得した(p184、186、187)
・1609年にはアムステルダム銀行設立、最初の預金を受け入れて、信用創造が可能。1661年には、ストックホルム銀行が世界最初の銀行券(紙幣)を発行し、金・銀にとってかわった。無限にマネー供給ができる体制となった(p188)
・中世的な宇宙観(コスモス)の崩壊とは、1)地球は一惑星に過ぎない、複数の主権国家が存在する、2)万有引力の法則、主権国家がそれぞれ作用しあってシステムを形成、3)ケプラーの法則、それぞれの主権国家により共通の規則制度が承認される(p189)
・ペルー鉱山から持ち出された銀の量は、13兆ポンド=1800兆円=現在の日本の個人金融資産と同等、これが略奪(p191)
・EU帝国に、中国・ロシアを加えれば、ユーラシア大陸に、3つの閉じた「陸の帝国」が出現しようとしている、海の国は、北米とイギリス、日本は「陸の国」の内海化に位置する(p200、213)
・1930年代は、エネルギー収支比は「100=獲得したエネルギーのうち1単位を次の採掘のために確保しておけば残り99は自由に使える」、1970年代に「30」に低下した、大規模油田が二次回収(自噴でなくなる)となった、それば今では、10程度(p224)
・シェールオイルは、採掘コストが高いのは問題であるが、さらに深刻なのは、エネルギー収支比が「2」に近いこと(p227)
・イタリアは、マキャベリの提言を受けず、またコペルニクス革命の本質を見誤り、都市国家から国民国家へ転換するのを忌避したので、オランダとイギリスに主役の座を奪われた、30年戦争が始まった1621年ころに、投資家たちは、ジェノバ国債・スペイン皇帝がオランダ領で発行した国債を売却して、オランダ東インド会社の株式を購入、つまり投資先を、ジェノバ・スペインからオランダへ乗り換えた(p230)
・ケインズのいう、人間の生き方とは、「人生の目的として、人間交流の楽しみ=愛、美しきものに接する=美、ケンブリッジ知性主義=真を求める」である(p252)