suu3.jp 戻る

summary

仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること (講談社+α新書)

仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること (講談社+α新書)の写真

・2016年はAIにとって、エポックメイキングな年であった。カーツワイルの予測に向けてAIの進化がひとつのハードルを越えた。AIが深層学習(ディープラーニング)という能力を身につけたことで、最も難解な頭脳ゲームと言われている囲碁の世界で人類の思考能力を超えた(p6)

・米国本部にあるSAEインターナショナルでは、自動化レベルを0から5までの6段階としていて、日本政府もこの分類にならっている。2016年8月に発売された国産初の自動操縦機能を備えた日産セレナは、レベル2とされ、自動車専用道路に関していえば、ドライバーがハンドルに手を添えていればあとは自動走行が実現、しかし事故を起こした場合はドライバーの責任(p26)

・加速、操舵、制動の基本運転をすべてシステムが行う一方で、緊急時の対応責任はドライバーが行うレベルを「レベル3」であり、2020年を目標設定としている(p26)

・今後進化していく自動運転車は、人間がルールをプログラミングするのではなく、自力で運転とはどのような行為かを学んでいくはず。そうすれば、人間のような運転能力を獲得し、不注意な人間とは違う「安全な運転」を機械がこなすだろう(p28)

・裁判官には二つの要素が必要、1)法律に沿った判断をする、2)その法律判断を時代に合わせて変えること、最近はAIが過去の裁判官の判断を学ぶことで、高い確率で時代の判断が問われる注目の裁判について、裁判官と同じ判決を予測できるようになってきた(p37)

・本当は必要のない仕事だということがAIによって突きとめられたら、それで仕事がなくなる、そのような「仕事消滅」がどんどん増えるだろう(p42)

・2012年、グーグルはYouTubeからランダムに取り出した1000万枚の画像をコンピュータに学ばせて、猫をコンピュータに覚えさせることに成功した、重要なのは、猫がどういうものなのかという特徴量をAIが自ら学ぶことができるという技術の発明であった(p44、45)

・最初のプログラム次第ではなく、個別のAIの学習次第で判断が変わってくる、つまり自分なりの判断力をAIが獲得した(p47)

・アルファ碁は2017年に世界最強の棋士と三番勝負に勝利した後に、囲碁の世界から引退した。その後、グーグルはアルファ碁同士が対戦する50局の棋譜をウェブサイトで公開したが、専門家が思いもつかない新しい布石であった、こうして囲碁の世界でAIは人間の思考力を超えた(p50)

・何等かの汎用的な課題を与えると、それを数年かけて学習してその課題に対する答えを自分で発見する、これが2030年頃にAIが到達する可能性がある「人間より賢い領域」である(p54)

・最初にイノベーションの種が発明されて、破壊的イノベーションの脅威が現実になるまでの時間は、ほぼ共通して20年程度、そして古い業界最大手が消えていくのが30年後であることがわかっている(p59)

・猫と人間を区別できる学習能力を備えたAIが出現したのが2012年だとすると、20年後の2032年には、おそらく人間よりも賢い「AIの上司」が人間から仕事を奪う現実の脅威になっているはず、そしてその5年前、つまり2027年くらいの段階では、まだ人型のAIを人類は「おもちゃだよ」と言って馬鹿にしているだろう。カシオのデジカメがフイルムメーカーの幹部に、今から5年前、囲碁や将棋のソフトが馬鹿にされていたように(p62)

・世界中で汎用タイプの人型ロボットの開発が本格化したきっかけは、2011年の放射能汚染事故「福島ショック」である(p63)
・人類がロボットやAIに最後まで勝てる能力は「手」その中でも特に「指」の能力である(p75)

・AIとロボットが人間の能力を超えるのに順番がある、足→脳→腕→顔→指である。2035年にAIとロボットが仕事という観点で人間の能力を超えるのは、足・脳・そして腕に留まる可能性が高い(p77)

・仕事消滅の最初は、ドライバーで2025年頃に確実に起こる、そして2030年には、弁護士助手・銀行融資担当者・裁判官といった「頭を使う専門家の仕事」が奪われる。2035年になると、より汎用的な管理職・経営者・研究者・クリエイターの仕事も奪われる。足と単純な手の役割が人間に近づく、重いものを設置する仕事、宅配業者の配達の仕事。2040年には知的労働の大半はなくなり、人類に残された最後の仕事の大半は、指先が必要な単純労働に絞られる(p77)

・アメリカのフォードモーターは、2021年までにハンドルやアクセルがない自動運転車を実用化する計画を発表している、これにより大量のタクシードライバーが職を失う(p80)

・ニューヨークでの営業許可証(メダリオン)は、1930年代に10ドルで手に入れられたが、2005年では25万ドル(引退しようとするドライバーからの購入)支払う必要があった(p81)

・ロボットの大半は先進国=一人当たりGDPが高い国で働くことになる。ロボットは性能が上がっても、その数がボトルネックになるので仕事消滅についての人類の本当の敵にはならない。だから本当に心配すべきは、肉体労働の仕事ではなく、頭脳労働の仕事である。仕事消滅は2030年以降、主に頭脳労働者の職場で起きる(p91)

・近未来になくなっていく仕事のリストは、簡単な仕事が世の中からなくなり、専門性の高い仕事をしていなければ仕事がなくなっていく、という前提であるが、これは2015年に花開いたディープラーニングの急速な進化を十分に織り込んでいない。最近では、頭のいい人の仕事の方が先にAIに置き換わり、体力自慢の仕事が生き残るのではと言われている(p94)

・2030年代を境にAIしかノーベル物理学賞は受賞できなくなる、そして2035年には、およそあらゆる「知的」と呼ばれてきた分野で、人間の頭脳がAIに太刀打ちできない日がやってくる(p98)

・マイクロソフトとオランダ美術館、工科大学のプロジェクトによれば、レンブラントの技術と発想、感性をAIが学び、ロボットならぬ3Dプリンタが立体的な絵の具の塗り付けを担当した。それは全く新しい「レンブラント風の肖像画」であった(p99)

・先進国では法律は変わらないだろうから、途上国や一部の先進的な考え方をするリーダーが率いる国では、AIによる医療現場の革新が始まる(p111)

・2035年の経営コンサルティング業界では、足で稼がないと発見できない情報を得られる、給料の低い使いっぱしりのコンサルタントだけになるだろう、情報によりAIが一番よい判断を下せるようになるだろう(p115)

・将来に求められる上司の能力は、よりよい判断力ではなく、よりメンバーを共感させることができる演技力に変わる。判断を下すこと、ビジネスに関係するに人々の能力や特徴を評価すること、人を動かすことの3つが管理職に必要な能力だと定義すれば、前者2つは2035年前後にはAI化されるだろう(p118)

・若く実際に動き回れることができる人材の方が給料が高く、歳をとって能力も理解力も衰えた人材は給料が下がる時代がくる。15年後のサラリーマンの未来には、完全な下剋上の時代=逆年功序列の時代がやってくる。作業量が下がることをAIに悪く評価されるので。頭のいい人から順にすべて没落する(p119)

・技術革新が一時的に古い仕事を陳腐化させて、やがて新しい仕事が登場して経済が以前よりも発展すると言われているが、新しい仕事が生まれて失業者たちを吸収するのは、30年以上も後の出来事である点が、見落とされている、ラッダイド運動が起きてから下火になるまでに40年かかっているという事実がある(p122、124)

・30年というのは、世代交代が理由。最初からそういうものだったと諦めがつく世代が主役になるまでに30-40年(p124)

・ワークシェアにより30%の失業率が回避されるが、同時に60%の人は年収が大幅に減少することになる(p128)

・マルクスは、共産主義への社会発展の過程において、先に民主主義が確率されることが重要だと説いていた、民主主義が発達した資本主義を捨てて、そこから人類ははじめて共産主義社会へと発展できるとした(p137)

・AIとAI搭載ロボットの競争力を、人間と同等かそれよりも下げてしまうという政策が有効である、つまり、1)全ての利用権を国有化する、2)産業利用については、賃金を国に支払う、家庭利用・私的利用には不要、3)ロボットに支払われた給料をそのまま国民に配分する(p147)

・あなたの自動車はあなたの所有物であっても、それを公道で走らせる許可を出す権利は国が持っている。車を利用したい人は、行政府に対して、車検という許可を得ること、自動車税・重量税を払うことが利用のための前提となっている。その点で、車の利用券を国が抑えていると言い換えても間違いではない(p157)

・1990年以降の日本の長期的な凋落は、ロボットに給料を払わなかったから起きたことではないかと考えられる(p173)

・たとえシンギュラリティの日が来ても、人類全体が遊んで暮らせるほどの台数のロボットは作り切れない、今世紀の人類はAIやロボットと共存し、仕事を分担しながら働いた方が、一番良い(p182)

・収穫物を穀物メジャーに販売している米国とうもろこし農家は、収支はゼロである。なのでアメリカ政府、州政府からの補助金(2000万円)で生活できる(p198)

・馬の場合、仕事が99%消滅したことで、世界中の馬の数も同じ規模で減った。一部の血統のサラブレッドを除き、種の絶滅の危機を迎えた。AIが発達することで消滅の危機を迎えるのは、犬と猫である(p201)

・古代ローマ帝国のローマ人たちの生活から我々の近未来を学ぶことができる。仕事のなくなった人類はローマ人のように、5つの分野を追求しながら、充実した人生を送るようになるだろう。5つの分野とは、1)芸術家、2)学究人(特定の分野について極める)、3)アスリート、4)趣味人、5)遊び人(p207)