・今回の事件で逮捕者がたった二人だったのは、日産と東京地検特捜部の間で司法取引があったため、日本も2018年6月から導入した、日本では制度導入後二例目であった(p20)
・ゴーンが日産をV字回復させることに成功した要因は、組合潰しと、徹底したコストカット(5つの工場閉鎖、全従業員の14%:2万人を削減、系列破壊)であった。(p29,30)
・全世界で販売台数2位だった2017年の日産の日本市場での販売シェアは、10.2%(1976年には31%、トヨタ37.7%)であり、トヨタの30.7%との差が大きい(p36)
・筆頭株主とはいえ、15%しか保有していないフランス政府がルノーの経営に介入できるのは、オランド前政権のもと、2014年に株式を2年以上保有する株主の議決権を2倍にするという、フロランジュ法が制定されたから(p38)
・フランスは株式会社化や民営化されたものの、政府出資が残っており政府による関与が強い、ルノーもそうであり他国の民間企業はインフラを支配する構造になっている。(p64)
・フランスのヴェオリア、イギリスのスエズは世界二強の水道会社であり、120か国で水道事業運営を受注して、両社とも世界シェア10%を超えている(p66)
・アメリカでは2018年8月に「外国投資リスク審査近代化法」にトランプ大統領が署名して成立した、中国企業による容易な買収を防ぐもの(p74)
・アメリカがイラク・フセイン政権を潰したのは、フランスが原油のユーロ決済を持ちかけたから。もともとイラクはドル決済をしていたのでフセイン政権を支援していた。フセインはスンニ派(2割)であり、アメリカのCIAはフセインを支援してスンニ派国家を作った(p83)
・ゴーンの逮捕が象徴しているのは、グローバリズムの終焉である。イギリスのEU離脱、トランプ大統領の誕生も反グローバリズムから起きている。オーストリアでは極右政党が政権入りした(p89)
・2018年10月18日、トランプ大統領は万国郵便条約から離脱する意向を表明した、中国からアメリカへ小包を送る料金のほうが、アメリカから中国、アメリカ国内の輸送料よりもずっと安く抑えられている、その差額分をアメリカ企業が負担している(p95)
・習近平政権は、国有企業のみならず在中国の外資企業にまで中国共産党の支部の設置を義務付けていて共産党による企業支配を強めている(p96)
・アメリカでは1980年代の冷戦終結による左派勢力の破綻により、民主党側にいたリベラル派がネオコンとして共和党に入り込んできた。彼らこそがグローバリズムを推進してきた新自由主義者であり、共産主義と非常に親和性が強かった(p104)
・現在の世界が置かれている状況は、まさしく第一次世界大戦の直前と非常に類似している、イタリアで勢力を伸ばしている「同盟」がEUから出ていくと言い始めている、2018年11月のAPECではアメリカと中国の対立により首脳宣言が出されなかった(p105)
・世界の債権の6割がドル建てとされており、外貨準備に占める割合も6割を超えていて、ユーロの2割と比べても優位にある。(p129)
・日本とアメリカでは1929年の世界恐慌の影響で、銀証分離原則があるが、欧州ではこの原則が採用されていない。なので商業銀行が行なう信託業務を「プライベートバンキング」といっている、これが欧州をゆるがす金融危機の原因となっている(p131,142)
・第二次世界対円直前、各国が上海に租界をつくったが、これは各国の海外における出先所で、治外法権があり免税特区でもあった。イギリスは上海租界と、香港、シンガポールを金融センターとあしてアジア進出の橋頭堡としてきた(p133)
・リーマンショックが起きた原因として、クリントン政権において1999年、グラム・リーチ・ブレイリー法が制定され、商業銀行・投資銀行・証券会社・保険会社の統合が許可されたから(p143)
・ドイツ銀行危機の背景には欧州金融機関が抱える構造的な問題がある、リーマンショック直後の2008年10月、欧州金融機関は会計基準の変更を行った。保有する債券を、満期目的と「その他」に再分類し、満期目的については取得原価をベースに資産計上ができるようにした、これによりドイツ銀行は8憶ユーロ以上にのぼる評価損を、8憶ユーロ以上の黒字に転換させた(p152)
・G20で明らかになったのは、日本・イギリス・アメリカの関係強化と海洋国群vsユーラシア(大陸国家群)という構図であった。中国・フランス・ドイツが接近した。メキシコ、ブラジルはアメリカについた。アルゼンチン、オーストラリアもアメリカについたが、ハイブリッド国であるカナダはフランスについた(p176)