・1989年において債務超過国の累積債務が1兆ドル(140兆円:S62の株価大暴落の額)というが、日本の個人(500兆円)と法人を含めた貯蓄総額が1000兆円なので、国民一人ひとりが貯蓄の30%は当分塩漬けで利息はなくともよいと思えば済む。(p3)
・近代以前の社会にも貧富の差はあったが、その間には超えがたいミゾがいくつかあって、両者をつなぐ経済的向上心が現在ほどなかった(p19)
・明治10年頃までは、同時期のイギリスよりも一人当たりの国民所得が高かったと思われる。蒸気機関が稼動し始めた欧州の国々では、庶民はかえって農業時代よりも貧乏になった(p23)
・欲しいものをつくると、自分に弱みができ、そうすると自分の生活を貫けなくなると思い、なるべく欲しいものが少ない人間になるように努力をしてきた(p29)
・豊かさを感じる条件として、1)収入の増加、経済成長、2)高収入が永続する保証、安定成長の見通し、3)支出の増加、使ってみてはじめて豊かさを実感、4)豊かさを実感できる消費対象の開発、支出の質的変化(p38)
・これまでの日米の決戦は、自動車・家電・半導体・工作機械などの得意種目だけでの勝利、ちょうど海軍航空隊だけが世界一流だったときに、それを真珠湾に派遣して成功したのと似ている。これからは総力戦(サービス業も含めたもの)となる(p44)
・日本人の70%が農民だった明治・大正時代には、学校は広い世界への窓だったが、いまは日本人の9割(9500万人)が都市計画区域の住民なので、学校は過去の遺物がつめこまれた押入れのような存在(P66)
・日本でいうところの土地問題は、土地の有効利用の問題であり、それは土地の利用転換、土地を場所に変える投資が不足している問題と考えることができる(P79)
・戦前は私鉄(東武、西武、小田急、東急など)が建設されて、山手線の外側に住宅地が開発された。その間は土地価格は一定であった。大正13年から昭和13年まで家賃は月10→13円程度。戦後は新線建設がなく人口は4-5倍になったので場所の価格が急騰した(P83)
・インフラ整備の税金は3回払っている、1)住民税、固定資産税、都市計画税が含まれた家賃、2)郊外造成宅地を購入したときで、上下水道・学校・公園・道路などのインフラ整備費を払っている、3)住居開始後に払う、1)の3税、これをなくす方法は、電話債券・ゴルフ場の会員券などを地方自治体が住民に発行して、転出時には買い取る等(P87、88)
・昭和6年の全面改正前は、宅地の税率(2.5)が田畑(4.5%)より安かったので私鉄が伸びてきた。現在の農地は、宅地の100分の1以上に減税されているので、宅地への転換が進まない(P91)
・アメリカでは地主になると、どこでも取得価格の3%ほどの保有税を取られる、つまり資産は33年でゼロになる(P95)
・日本型雇用を本気で論ずるならば、終身雇用や年功序列賃金のような表面的な現象でなく、勤務評定と結果の報酬の与え方はどうなっているかを論ずるべき(P103)
・日本型雇用の特徴は勤務評定のやり方にある、特徴は、1)評定期間が長い、10年に1回、2)評定権者が特定の上司でなく、仲間全体ということ、仲間とは同僚もふくめて前後10年間の年次の人間(P104)
・サラリーマンは賃金で差をつける代わりに、1)ポスト、2)給料以外の職務、3)失敗の経験が少ない部署が与えられる(P107)
・ローマ帝国の奴隷のあいだにキリスト教が深く広く浸透したのは、奴隷でも信者になって天国にゆけば戸籍簿があることになった、奴隷同士の結婚も信者になればできる、天国での再会を約束し、さらに神が二人の結婚に立ち会って証人になるとした(P121)
・日本人社会で暮らすのに忘れてはならない三種の神器は、1)弱者演出、2)被害者演出、3)不器用演出である(P126)
・貿易黒字により、商工業関係の国民が豊かになるのを、今まで豊かさを独占していた貴族、大地主などの支配階級が不愉快に思ったのが真実、その豊かさは農村まで及ばなかったので農村にも不愉快が増大した(P183)
・日本は、明治政府以来の体質である、中央集権・官尊民卑を足腰、右腕は昭和6年以来の富民政策、左腕は統制経済以降の富国政策である(P185)
・食管法以前の小作制度では、農民は地代としてコメの収量の50%を現物で地主の邸宅まで持参したが、それをコメは国家へ直接納入、国家から地主と小作にそれぞれ現金で支払うことにした(P186)
・食管法は昭和17年に成立した、昭和16年には米1石あたり、地主55円、農民は55+5=60円だったが、昭和20年には地主はそのままなのに、農民は300円となっていた。地主制度はマッカーサー以前に空洞化されていた(P187)
・確かに労働三法がつくられたのは戦後だが、その下地は戦時中からあった。今日まで続いている、終身雇用・年功序列・企業内組合となっている、日本陸軍は大正時代から存在した欧米型の職業別労働組合を解散させて、労使協調の「産業報国会」を各会社毎につくらせた、戦後にはここから企業代表が退陣して現在の企業別組合になった(P188)
・戦時国家社会主義の名残として、1)販売の苦労なし、2)経営責任は曖昧でok、3)新規事業開発の挑戦はしなくてよい、4)増産が第一(P189)
・現在の日本で豊かな人は次の条件のいずれかをもっている、1)自分の利害を代表する政党を持っている、2)自分の会社を持っている、3)自分の能力を持っている人、現時点で最も有効なのは自分の能力(他人が喜んで買ってくれる能力で先回りすべき)を持つこと(P222,226)
・試験の社会史によれば、明治初期のころは在学者のほとんどが士族、医者は46%と低い、自営が可能なので町人のすることと見られていた(P220)
・老後の問題、1)身体・精神機能・経済的に衰えていく不幸、2)孤独になっていく不幸、3)死とその恐怖、4)長生きする不幸、5)将来を不安に思う不幸(P228)