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60歳からの知っておくべき地政学 (扶桑社新書)

60歳からの知っておくべき地政学 (扶桑社新書)の写真

・世界で起こっている事象を深く理解するための一つの視点が「地政学」だ、世界の戦争の歴史を知ること、そして国や地域が置かれた地理的条件から物事の深層を考えるという学問である(p14)

・朝鮮戦争において、釜山から対馬、さらには九州にまで脅威が迫る中、日本が本格的な戦争に巻き込まれないようにするために防衛策として掃海艇の派遣が下されたことは十分に理解できる、日本は現実的な判断から集団的自衛権を行使し、同盟国と自国を守ったと言える(p24)

・日本は長年、ロシアを過度に敵視せず、中国だけに対抗するというスタンスだった、しかしウクライナへの侵攻を機に、仮想敵国としてロシア、中国、北朝鮮の三方面に対応せざるを得なくなった、冷戦の火種は今もなお燻り続けている(p34)

・死者の絶対数は第二次世界大戦だが、人口換算後のランキングでは、一位は、中国唐(8世紀)の安史の乱(3600万人に対して、4億2900万人)2位は、モンゴル帝国の制服、以下、中東奴隷貿易、17世紀の明朝滅亡である(p36)人類は20世紀以降、急速に平和的になったと指摘されている(p36)

・半導体製造装置メーカは世界でも限られる、ASML(オランダ)、アプライドマテリアル(米国)ラムリサーチ(米国)、東京エレクトロン、KLA(米国)の5社が8割を占めている(p43)

・国際金融のトリレンマとは、自由な資本移動、独立した金融政策、固定相場制、を同時実現できない。中国は共産主義体制なので、自由な資本移動を許していないので、自由な資本移動を制限し、固定相場制と独立した金融政策の2つを選ばざるを得ない。こうした制約があるので、中国が主導するAIIBからは低コストでの資金調達は難しい(p51)

・海中の原子力潜水艦は、空からは簡単に捉えられない、さらに長期に渡って燃料補給を必要せずに連続航行ができ、余剰電力で海水から酸素を作れるため、数ヶ月以上の潜航が可能、その意味では現時点で最強兵器とも言える(p58)

・プーチンが停戦に応じるためには、ウクライナがNATOに加盟しないことが絶対条件となる、しかしウクライナがNATOからこれだけ軍事支援を受けている状況では、事実上NATOと一体であるとプーチンには見えるだろう、これがプーチンが和平を回避して戦争の長期化を望むインセンティブとなっている(p75)

・旧ソ連諸国を中心とした陣営には、集団安全保障条約機構(CSTO)がある、現時点での加盟国は、ロシア・アルメニア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ベラルーシであり、NATOに対抗する地域的な軍事同盟と位置付けられている(p88)

・経済は、アジア太平洋・欧州・北米州の3極がある、米大陸にはUSMCA(2020.7,米国、カナダ、メキシコ)の貿易協定でNAFTA に代わるものである、欧州にはEU、アジア太平洋には、RCEP(2022.1)があり、参加国は、ASEA10カ国(インドネシア、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナム、フルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)と、それらのFTA(自由貿易協定)パートナーである日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、2024年6月にはチリが正式加盟した、ロシア中心のEAEU(ユーラシア経済連合)もある(p101)

・債務返済に苦しんでいるスリランカに対して、日本、インド、先進国からなるパリクラブはスリランカの債務問題に対処している(p113)こうしたスリランカのような事例が相次いだことで、一帯一路の評判は低下の一途を辿っている(p114)G7から参加したイタリアも2023年12月に正式に離脱した(p114)

・TPPへの参加で日本は自由貿易の恩恵を受けられるようになった、自由貿易とは、可能な限り国家間で関税をかけずに輸出入を行うことを指す、自由貿易のメリットを受けるのは主に輸出業者と消費者、デメリットは、輸入業者と国内生産者である、そして自由貿易の恩恵とは、メリットがデメリットを上回ることを意味する、これは経済学の200年の歴史において最も確実な理論である(p131)

・ISD条項(国家対投資家の紛争処理条項)について、日本はこれまでに50以上の投資協定に署名しており、その中にもISD条項が含まれているが、対日訴訟は1件も起こっていない、世界では多数発生しているが、訴えられるケースの多くは国内法が不備な途上国である。ISD条項は、投資家や企業が国際投資で相手国に不平等な扱いを受けないようにするためのものであり、日本のような先進国には有利に働く(p133)

・カントの提唱したのは、民主主義の程度・経済的依存関係の構築・国際的組織への加入、の3つで、この中で民主主義にフォーカスしたのが、民主的平和論である、民主主義国では、選挙で選ばれた政治家は、国民の視線を意識せざるを得ず、三権分立や二院制のような権力機構の抑制が存在するため、戦争という行動が選ばれにくい(p156)平和の5要件とは、1)同盟関係、2)経済的依存関係、3)国際的組織への加入、4)民主主義、5)相対的な軍事力である(p160)

・第二次世界大戦が終わった日は、日本人としては「8月15日」であるが、他国の人々は「9月2日=戦艦ミズーリ艦上での日本政府のポツダム宣言に基づく降伏文書に署名した日」である(p171)

・核シェアリングとは、NATO加盟国が抑止力を共有する仕組みで、核保有国(主に米国)が非核加盟国に核兵器使用に関する協力や訓練を行う、但し実際の核兵器の管理、運用権は核保有国にある、これにより非核国も核抑止力を使えて安全保障を強化できる。すでに、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコでは実施されている(p201)