suu3.jp 戻る

summary

22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する (文春新書)

22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する (文春新書)の写真

・国境で仕切られた国土を持つ福祉国家(物理国家)が担ってきた徴税県・財政政策・社会保険の役割が衰える。物理国家は中年の危機に突入し、デジタル時代には、警察・軍事・国境・司法あたりだけを担う夜警国家に退化する、再配分という公共政策内蔵の市場経済を提供するプラットフォーマが、新種の情報国家となる(p21)

・それぞれの人が何者で何をしてきたかの履歴データが豊かになると、その人が何をどれくらい欲していそうか、データから察することができる。人々の好みを汲み取り、彼らを喜ばせる経済活動や資産配分を直接計算することもできる(p22)そんな世界で人々を突き動かすのは、もはやお金ではない、交換・仕事・親切のような「やりとり」たちの刻み込まれたデータそのものが大切になる。それぞれの人の過去の来歴データは、他の誰とも違うその人の比べようのない多次元価値を表す徴(しるし)、アート作品のような存在である(p24)

・財、生産手段、資本の中身が変幻自在に変わっていくと、だんだん捉えどころがなくなっていくこと、そして固まった定義からひたすら逃れ続けること、それこそ資本主義の本性である(p38)

・今ここでの売上や利益と比べた未来への期待の価格が上がっている、その結果、企業の株価・時価総額を今ここの収益や目の前にある資産の保有額で説明することがどんどん難しくなっている、これは企業活動の過去・現在を正確に記述しようとする会計の「終わり」だという主張さえある(p49)

・時間✖️意味による価値の分類、いつ価値が生まれるかという時間軸(現在・未来)と、価値の中身(意味・便益)(p60、65)左下の「現在x便益」から右上の「未来x意味」の領域へと市場価格の重心が移行する、これは左下の代表である「お金の価値」が下がっていくということ(p116)

・情報、物事、心身、デジタルデータできるものは全てデジタルデータ化されていく、そして続くのが「I o T=物のインターネット」化した物のデジタル化だろう、スマートデバイスから家具家電、建物、都市まで、ウェブに繋がれたデジタル世界にデジタルツイン(電子双子)として複写され、計算機網に操作されるハードな物もすでに半分データである、本番は最後、あらゆる事のデータ化が起きる、これは中国をはじめ一部の監視社会で起きている(p69)

・18世紀に起きた第一次産業革命、19世紀後半からの第二次産業革命、70年代初頭からの第三次革命(計算機が単純頭脳作業を自動化)においては、平均年間成長率は0,46-1,89%であったが、ウエブが浸透した200−2014年では、その頃のような変容を作り出せていない、産業革命と呼ぶには程遠い(p92)

・「経済活動の実態」と「経済活動の記録」のズレ(差)が「お金の役割」であった、太古は、石や粘土の台帳が経済・取引のほとんどを記録、現在は、決済・取引の多くがデジタルデータとして記録されている(p109)台帳に記された債権・債務関係がまずあり、それを精算するための副産物として「お金」が使われたことになる、匿名化・単純化、持ち運びできるようになった台帳が「お金」とも言える(p112)

・柔軟な一物多価の価格設定をうまく行えば、より多くを払ってもいい人には、多く払ってもらい、事業者は収益を改善できる、さらに消費者の満足度も改善できる場合がある、うまく作られた「一物多価」は、売り手・書い手の両方を満たせることになる(p124)

・古代の国家の興隆とともに穀物経済や農業経済が発展したのは、穀物が課税の基礎として強固だったとの説がある(p137)課税の最大の基礎になるのは、穀物・国境・紙幣でない、人々のIDとデータである、それを握るのは、これまでの古い国家ではなく、デジタル情報空間に芽生えつつ情報国家になる、古い物理国家から資本主義が離婚し、新しい情報国家と再婚する(p138)