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商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)

商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)の写真

・零細小売商は、イエ原理だけでなく近代家族のもとで経営を行っているため、規模が相当に大きくならない限り、家族成員以外の者を経営に参加させなかった、商店街は地域に開かれている存在のはずが、それぞれの店舗は家族という枠に閉じていた(p29)

・離農者を中間化しようとする試みのなかで商店街という理念が形成、商店街の担い手は近代家族であり、事業の継続性で大きな限界があった(p30)

・離農者が増えた原因は、第一次世界大戦後、農村が長引く不況に苦しんだから、大戦終了後に欧州製品がアジア市場に戻ったため、離農者の多くは製造業などを営む近代的企業ではなく、零細小売業として都市で働き始めた(p53)

・第一次世界大戦後、不景気により中小企業が没落し、財閥に吸収される。1928年には法人資本金のうち、30.1%が、三井・三菱・住友の三大財閥系企業に占められた(p54)

・親方の元で働く工員は、企業が直接人材を募集するのではなく、親方が自分の郷里から集めた、親方ー徒弟という特殊な人間関係(組)を結んで、企業から発注された仕事を請負の形でこなした(p55)

・農村の人々は、単身者で都市に移動したというイメージがあるが、実際は世帯単位で都市に出ていき、零細の小売・サービス層に変わった(p57)

・三井呉服店(いまの三越)は、1900(明治33)年に本店の座売り方式をすべて陳列販売方式に変え、1904には気軽入れるようにショーウインドーを設置した(p65)

・商店街という理念は、零細小売商が対立していた協同組合、公設市場、百貨店の長所を貪欲的に取り入れつつ形成された(p69)

・明治期以来、日本政府は繰り返し酒税の増税を行った、当時の酒税収入は所得税よりも多かった、そのためそれまでタブーであった官による酒販店の統制となった(p90)

・東京都において、設立時期が昭和20年以前の商店街はわずか6%、多くの商店街は戦後以降に形成、その理由は、商店街関係の法整備(特に商店街振興組合法:1962)が進んでから(p97)

・第二次世界大戦で失われた国富は、終戦時価格で約1340億円、当時の41.5%、終戦直後の製造業生産は1935-37年平均の1割以下、鉱工業生産は1935年(昭和10)の2割強に落ち込んだ、それにも拘らず資金供給が膨らんだので猛烈なインフレとなった、闇市場では公定価格の30-40倍、小売物価指数は、1945=475.1は、1949=37386.9、つまり79倍という物価上昇であった(p99)

・終戦直後の日本は完全雇用を実現するに当たり、二つの社会的制約があった、1)労働力人口の急増(引揚者、農村の長男以外)、2)国際競争力を高めるため、第二次産業の雇用抑制(p104)

・完全雇用へ向けての努力として、1)海外移民の促進、2)家族計画による出産数の抑制、3)社会保障による女性・高齢化の非労働力化、を行ったが不十分であるため、さらに、第三次産業での労働力の吸収を行った(p105)

・ダイエーの中内は、大手製造業と特約店が協力して作った慣行を打ち破るべく、値引き販売を行った、最も強く反発したのが松下電器であった(p123)

・ダイエーと松下の戦いは、ダイエーが勝利した、消費者団体からの抗議もあり、価格統制が公正取引法に違反していることを認めた(p125)

・1970年代の猛烈なまでの人件費の高騰、1980年代の円高は日本労働者の賃金水準を高めた、これにより日本の国際競争力を高めてきた前提が崩れた(p134)

・日本の商店街が抱えていた最大の問題点は事業の継承性、商店街を支えるよりも家族の都合を優先した結果、コンビニが選ばれた(p141)

・日本の終身雇用制・年功序列的な人事考課は、資本論理というより、工業化以前の人間関係が企業に持ち込まれたもの(p145)

・大企業の男性サラリーマンは、専業主婦を抱え込むことによって、扶養・家族手当がつき、税制上も扶養控除などの優遇措置が得られた、1985年の年金改革では、男性サラリーマンと専業主婦に優遇措置が与えられた(p150)

・新しい年金制度は、その後の女性たちの働き方を強く規定した、この制度により主婦たちは年収130万円以上稼ぐことを避けるようになった、それ以上かせぐと、夫の扶養控除がなくなるだけでなく、年金保険料まで支払う必要があるから、だからパート労働の時給が上がる必要がなかった(p151)

・スーパーマーケットを経営していた大規模小売資本は、それまでの出店戦略を根本から変更した、具体的には、1)大店法の規制にかからない小型店の出店、2)フランチャイズチェーン展開、3)大店法の規制のかからない地域で大型点を出店(p179)

・日本流のコンビニの発明はみずからの陣営に零細小売商を取り込むためになされた、その特質は、1)コンビニの出店形態(土地建物を所有している零細小売商に経営まかせる)、2)情報機器を用いて顧客動向を知る必要から新製品が絶え間なく並べられる、3)30坪程度の面積、4)家族経営にあわせた長時間営業の制度、夫婦での共同経営が最低要件(p187)