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summary

食の終焉 グローバル経済がもたらしたもうひとつの危機

食の終焉 グローバル経済がもたらしたもうひとつの危機の写真

・現代の食品産業で成功を収めるカギは、食品をほかの消費財のように動かす能力にかかっていると言っても過言ではない。(p23)

・高価な加工食品の販売に頼る食品会社のターゲットは、欧米やアジアの急成長国た対象で、貧しい国は相手にしていない。このため食品価格が半値になり世界全体の食糧供給量も人口一人当たりのカロリー要求量を20%上回っていても、栄養過多とほぼ同数の栄養不良の人がいる(p27)

・大量の肉を生産するためには、飼料生産のためにとてつもない広さの土地が必要になる(p29)

・アウストラロピテクスは、草食に適応していたが、300-240万年前に、地球が寒冷化して乾燥化が進み、ジャングルの中にモザイク状に森林と草地が広がり始め、私達の祖先は木から下りて新たな食糧戦略への変更を余儀なくされた。(p48)

・他の肉食獣が残していった動物の死骸を食べていた、脚の骨や頭蓋骨を石器で砕いて、高カロリーで栄養豊富な骨髄や脳を食べるようになった(p49)

・人類の進化における肉食の本当の意味は、カロリー量ではなく、そこに含まれる栄養素の種類。動物と人間の組織は同じ16種類のアミノ酸を持っているため、動物の肉は植物よりも容易に人の肉に転化される。私達の祖先の体が大きくなった原因のひとつ(p50)

・人類の消化器官はほかの霊長類の60%程度にまで縮小した、消化器官のエネルギー消費が激しいため、消化器官が小さくなるほど、脳に回せるカロリーが増える(p51)

・クロマニヨン人は小型動物を捕まえるために、新たな狩猟技術や武器(弓矢)を発明した、ネアンデルタール人は大型動物を追って絶滅へと向かっていった(p53)

・収穫した穀物は傷みや害虫から守る必要があった、未加工の穀物は肉食に適応した人間の消化器ではほとんど消化できないため、食べやすく、栄養価も高い形に変えて食べる必要があった(p55)

・集中的な食料生産が意味したことは、人類がもっと大きな、もっと人口密度が高い社会で生活す能力を持っているという事である(p57)

・ローマの軍事力の衰退に歩調を合わせるかのように、その食システムが同時に崩壊したのも偶然ではなかった(p58)

・1600年にはすでに、イタリア、フランス、オランダの人口密度が各国の農地で養える限度をこえてしまい、中国やインドもその後を追った(p61)

・大英帝国の最盛期だった1880年、平均的なイギリス人男性の寿命は40年だったのに対して、貧困労働者層のそれは20年だった、これは旧石器時代と同程度(p65)

・土地の肥沃力を回復させるためには、有機肥料と転作という伝統的な方法では、成長の早い新種の作物が栄養素を吸い取る速さに栄養素の補給が追いつかなかくなった(p70)

・1900年までは、農場の総面積の半分くらいが飼料作物や被覆作物の栽培に充てられ、換金作物は残り半分の土地でしか栽培できず制約であった。しかしハーバーボッシュ法を使った窒素を含む化学肥料により穀物生産は爆発的に増加した(p72)

・1900年、平均的なアメリカの家族は世帯収入の約半分を食費に充てていたが、1980年には15%未満となった。食料生産の近代化が人類史上最大の富の転換の一つであることを示す(p77)

・商品価格が下がり続けると、新技術の購入コストや資本を分散させ続けるだけの規模を持たない、小・中規模の農場は押し出され、価格面でのマイナスを量と効率で穴埋めする巨大な工業的農業が参入した(p80)

・ネスレがインスタントコーヒーを考案したのは、消費者が手軽に入れられるコーヒーを望んでいたのではなく、コーヒー豆の価格が安くなりすぎたから(p92)

・1950年には、食品の小売価格の約半分が農家や生産の取り分だったが、2000年にはこれが20%以下となった。生産者の儲けを減らしながら、食品加工業者と食品メーカが付加価値を増して自分の利益を維持した(p95)

・付加価値少なくブランド化の可能性も低い果物、野菜、肉、鶏、魚などは、消費者食糧支出の41%を占めながら、広告費は全体の6%未満(p98)

・ネスレの研究者は、アイスクリームの舌触りが脂肪だけでなく、その脂肪と氷の結晶、砂糖、たんぱく質等との間の化学的な分子配列によって決まることを発見した(p99)

・中国において、西方の州の消費者は香料を多用した肉料理を好む、北京の消費者は、濃い味付けや小麦を主とした食品・塩辛さを示す(p121)

・低価格への執着は、品質と栄養価が低下した食品を次々と生み出したため、お買い得感のある価格設定と、分量のみに依存したものとなった(p129)

・ウォルマートの売り場の床面積の約3分の2は、衣料品等の非食料食品(利幅高い)で占領されているおかげで、食品をさらに低価格で販売可能であった(p133)

・食肉会社は、PSE(色が淡く、組織柔らかく、水っぽい肉)問題に対して、塩とリン酸塩を肉に注入して保水力を高めることで事後対処している。安上がりだけでなく、肉の販売重量を10-30%も増量できる(p155)

・私達の体は、外部のカロリー経済(食料環境)に適応するために、まずそのカロリー経済を体内で構築した。それは、ホルモン・神経物質を駆使して摂取するカロリーと燃やすカロリーを巧みに均衡させる複雑な計算システムであった(p168)

・エネルギーバランス的には、運動量が少し減るだけでも著しい体重増加につながる。アメリカ人の体重増加は、毎日20分も歩けば消費できる、約百キロカロリーというカロリー不均衡がもたらした結果である(p184)

・殆どの糖分は消化器で消化されてブドウ糖に変換されるが、果糖は肝臓に達するまで完全に消化されない。他の果糖よりも脂肪に変換されやすい(p189)

・中国山東省では、温室が増えた分だけ、小麦やトウモロコシを育てられる土地が減少、養豚・養鶏の急成長に呼応してトウモロコシ需要が高騰しているにもかかわらず、1995年以降生産量は20%も減少。中国第二位の生産を誇るが不足のため近隣州から購入している(p211)

・補助金の金額は、地価・種子・肥料などへの投入費の上昇に追いついていないため、生産者の利益マージンは小さくなっていっている(p224)

・アメリカで実際に消費される穀物の量は、アメリカの農家が生産する総量の5分の1にすぎない(p225)

・1998年、韓国・タイ・マレーシア・インドネシア・台湾・フィリピンはIMFへ救済措置を求めたが、IMFは今よりも多くのアメリカ産穀物を買う約束をするまで救済資金は支払われない条件があった(p232)

・先進国の生産者は政府から補助金を受けていたが、開発途上国ではIMFや世界銀行の融資条件によって、補助金は廃止された(p235)

・アメリカや欧州の食肉加工業者が好んでブラジルに進出する理由は、安価な穀物や労働力に加えて、ブラジルに汚水処理の規制がないことが大きな一因である(p240)

・アメリカの補助金は全農業収入の22%、欧州は32%、日本は半分以上である。アメリカの農業生産者は、補助金により生産コストよりも安く(トウモロコシ:27%、小麦:33%、牛乳:39%、砂糖:56%)輸出できる(p244)

・現在、アメリカがトウモロコシと大豆でブラジルに対して比較優位にあるのは、1)優れた農業技術、2)良い道路・線路などの輸送設備、である。アメリカには絞り出せる無駄なコストはないが、ブラジルやアルゼンチンにはまだまだある(p253)

・世界人口の7分の1に当たる約9億人が栄養失調状態にあり、さらにもう1億人が慢性的な微量栄養素不測の状態にある。かつてないほど食料が安く手に入るにも拘わらず、飢餓の人が増えているのは、原題の食経済が破滅に向かっている証拠(p261)

・ケニアを初めとするアフリカ諸国は、補助金を与えて収穫量をふやしていたが、膨れ上がった借金(利息で国内生産の4分の1)のため、それまでの農業計画を放棄して補助金プログラムを中止せざるを得なかった(p270)

・1970年には40歳だったケニアの平均寿命は、1990年代後半には60歳近くまで延びたが、近年は毎年1年ずつ短くなり、今ではまた40歳前後となっている(p303)

・ハンバーガーは各段階で繰り返し混ぜ合わせが起きるため、最終的にできるハンバーガーには、数十頭から数百頭の肉が混ざっている。(p313)

・狂牛病の発生以来、血液・内臓・くず肉をそのまま牛の飼料にまぜることは違法になったが、牛の血液や内臓を、鶏や豚の餌に混ぜることは違法ではない。鶏舎にたまった、鶏の羽、こぼれたトウモロコシなどのゴミを集めて牛のエサにすることは合法である(p321)

・病原性大腸菌は、正式に汚染微生物に指定されているが、サルモネラ菌、リステリア菌をはじめとする病原菌はまだ指定されていない。食品業界のロビー活動のおかげ(p323)

・平均的なアメリカ人は現在、1日9オンス(255グラム)の肉を食べているが、政府が推奨するタンパク質摂取量の4倍であり、肥満上昇率の主要因である(p358)

・牛は体重の60%は食用できない、骨・内臓・皮である。牛肉1ポンドを得るのに、20ポンドの穀物が必要となる。鶏は4.5、豚は7.3である。牛肉消費量が1トン増えれば、飼料需要が20トンふえる(p360)

・開発途上国でも、農業の工業化がすすむと、各国の固有作物や伝統的な作物にかわって、スーパー作物:小麦、トウモロコシ、コメ、大豆が作られるようになる。高収益をもたらしてくれる一方で、それまでに経験したことのない害虫や菌類、ウィルスに晒される(p374)

・肥料、補助金、安価な石油という追い風があったとはいえ、20世紀の気候が安定していなければ、アメリカが穀物大国にならなかっただろう(p386)

・穀物の栽培には、1トン当たり、平均千トンの水が必要となる。農業は人類が使う淡水全体の約4分の3を消費する(p388)

・遺伝子組み換え作物は、除草剤やハイテク農薬、種子の購入が可能な、アメリカ・アルゼンチン・ブラジル・カナダ・中国・南アフリカの6か国でしか栽培されていない(p436)

・合鴨農法は、最終的には、コメ・合鴨・卵・魚、をあわせて販売することができる(p456)

・消費者がオーガニックフードに乗り換えれば、1世帯当たりの食費は31%増加するだろう(p476)

・ソ連は1990年初めに石油や肥料、殺虫剤など、大規模農業に必要な資源を供給していたが、突然止まった。農産物の多くは、すでにキューバ人が作ることをやめている人間用の食物であった。(p499)

・一番のワルは、食品メーカやスーパーマーケットと思いきや、ファーストフードとの戦いをしている。最後の黒幕が、実は私達一般の消費者だというのが、この壮大な物語のオチである(p529)