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summary

歴史学者という病 (講談社現代新書 2670)

歴史学者という病 (講談社現代新書 2670)の写真

・自分にはできないことがある、とはっきり自覚したからこそ始まる人生もある、「どうするか」こそが本当に大事なのだと言いたい、立派でなくともいい、その人ならでは、みたいなオリジナルやスペシャルなんかなくても良いのである(p50)

・本能寺の変について学説と呼べるレベルに達しているのはたった一つ「四国説」しか存在しない。これは四国の長宗我部氏をめぐる信長と光秀の対立を指し、この対立が本能寺の変の遠因だったのでは、と古文書の史料を持って後付けで説明することは可能であるから(p91)

・江戸時代とは、平等を手放しながらも平和を選び取った世界であったというのが、現在の歴史学者としての私の見方である(p107)

・認められるためには一等賞を獲れば良いと思っていた、しかし学問というのはもっときめ細かいものであった、まず周りに友達を作り、小さな学会を編み、互いに褒め合うという行為をひたすら続けることでみんなが豊かになっていくという現実があることを身をもって知った(p161)

・地政学を含めて考察する、現在の江戸川にあたる流域には、実は当時とても太くて広い利根川が流れて分断していたため、房総半島への移動は大変であった。実際に室町時代に至るまで、利根川を挟んだ東西を隔てる地政学劇な分断が続いていた(p171)

・鎌倉幕府において1軍が南関東4カ国(駿河、伊豆、相模、武蔵)とするなら、千葉篤胤らの房総半島は2軍、そして北関東(群馬、栃木、茨城)の3カ国は、3軍の扱いであったのではないかと思われる(p173)

・鎌倉時代、地頭への命令書には必ず「先例に任せてその沙汰を致すべし」という決まり文句が書かれている、あなたを地頭に任命するが詳細はその土地の先例通りにうやりなさい、ということ(p185)

・歴史学について現在考えていることは、1)一つの国家としての日本は本当だろうか、2)実証への疑問、3)唯物史観を超えていく(p212)

・現在の学者に必要な資質とは、研究者としての実力だけではダメで、競争的研究資金を得る(=自分は研究するために幾らかの金が必要)、さらには、学校内外で仲間を上手く作れる能力が大事である(p213)

2022年9月18日読了