・我々が当たり前のように利用し、その恩恵に預かっている情報通信技術は、米国政府主導のもとで巨額の国の財政支出を伴って商用化まで漕ぎ着けたものであることが本書の中で明らかにされている、一方で、その技術開発には、民間企業は及び腰であり、商用化一歩手前の段階になって初めて関与してくるのが実態であることが、同様に明らかにされている(p4)
・日本の奇跡は、突き詰めれば「発展志向型国家」の存在、あるいは、的を絞って綿密に計画された産業政策(=通産省による経済発展に的を絞った将来を見据えた政策)を通じた経済運営にあった(p8)
・スティーブジョブズは「ハングリーであれ、常識外れであれ」と述べたが、常識外れであったとしても、実際には国の支援を受け、方向づけされたイノベーションの波に乗ることができたから成功したのだという体験について真面目に語る者は少ない(p43、p188)
・ジョブズのiPoneにこれほど頭脳を吹き込んだ、インターネット・GPS(全地球測位システム)・タッチスクリーン画面、SIRI(発話解析・認識インターフェイス)の技術は政府資金で可能になった、国家がイノベーションを起こしたのである(p44)イノベーションとなると、政府の介入が非常に目立つ(p47、p201)
・緊縮財政は必ず成長を取り戻すという主張になったが、もっと高い財政赤字を抱えた国々(カナダ、ニュージーランド、オーストラリア)が安定成長を続けているという事実は無視されている(p70)
・グーグルを成長に導いたアルゴリズムは、アメリカ国立科学財団、つまり公的セクターの研究資金であったということをどれほどの人が知っているだろうか、アメリカの多くの非常に革新的なベンチャービジネスは、民間ベンチャーキャピタルの資金援助を受けておらず、アメリカ中小企業技術革新研究プログラムによって研究資金を提供されていることも、知られていない(p75)
・現在の最も深刻な問題は、研究開発への投資が削減されるのと足並みをそろえて、民間セクターの金融化が進んでいること、製薬企業が研究開発の研究部分の投資を減らして、自社株買い戻し傾向が強まっていることは否定し難い事実である(p85)これは広範に広がっている問題、S&P500社は、過去10年間に310兆円をしている、最大の石油企業と製薬企業は、理由として新しい投資の機会がないからと主張している、将来性はあるがコストが高いものは、公的セクターが担っている(p87)
・特許の使い方が変わってきている、自社開発の技術を保護する目的から、クロスライセンスとして公開して、互いに他者の技術や関係特許を利用し合う形に変わってきている、この結果大企業の研究開発予算が減る中で、特許数が増加した(p129)特許数増加にもかかわらず特許の価値を評価する一つの物差しであるその引用件数で見ると変わっていないという事実は、重要な特許はわずかしかないということ(p152)
・もしアメリカがイノベーションに優れているとしたら、産学連携がうまく行われているからでもない(実際そうでない)大学でスピンアウトがより頻繁に起こっているからでもない(これも実際にそうでない)アメリカでは研究を行う大学その他の機関が他の国よりも多く、また研究規模も大きいからである、こうした成果が企業にも広がり、従業員の技術向上にも貢献している(p133)