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日本銀行 我が国に迫る危機 (講談社現代新書)

日本銀行 我が国に迫る危機 (講談社現代新書)の写真

・10年近くの長きに渡り「低インフレ・超低金利状態」の恩恵に預かってきて、2020年春には諸外国と同様に我が国もコロナ危機に見舞われ、政府は大規模な財政出動を余儀なくされたが、私たちはそれから3年が経った今に至るまで、このろコロナ危機対応のための目立った負担増を求められていない。これらも全て、この「低インフレ:超低金利状態」のおかげであった(p15)

・コロナ危機後の2021年夏前後から、世界の主要国の経済は高インフレ局面へと急転換した、米FEDをはじめとする主要中央銀行は2021年末頃から22年春頃にかけて短期の政策金利を引き上げる金融引き締めに軒並み転換し、大幅な追加利上げを重ねつつ、コロナききで一段と膨張した銀行自身のバランスシートの縮小を急いでいる、つまり、これまで買い入れてきた国債を各銘柄の満期が到来するのを待って手放している(p28)

・日銀がいまだに姿勢を続けている本当の理由は、これほどまでの大規模な異次元緩和を長期間続けてきてしまった結果、一度利上げ局面に入れば中央銀行としての財務運営はたちどころに悪化し、赤字に転落するのが確実な状態にすでに入っている、債務超過状態が10年という単位では済まず、数十年単位で長期化する可能性がある、これはその国の通貨が信認を失う、その国自体が他の国から経済取引を行う相手として信用されなくなることを意味する(p30)しかし利上げに踏み切らなければ、インフレ進行が放置されるリスクは高まるが、日銀は赤字にも債務超過にもならない、これが本当の理由である(p48)

・単純計算すると、歳出の全て(保障費、防衛費、義務教育の国庫負担金、地方交付税など)は、一律4割カットしなければ収まらなくなる(p68)

・金利がゼロ金利制約にあるもとでは、中央銀行が民間銀行向けにいくらマネタリーベースを増やしても、金利がプラス時代のように民間企業から市中の企業や家庭向けの貸出が伸びることはない、ということは日銀が世界で初めて、ゼロ金利制約下で量的緩和政策を試して分かったことであった(p85)

・異次元緩和を助長する道具となったのは、利払費を極小化させられるようになったから。世界最悪の国債残高の規模からすれば異様なまでに小さな利払いで済ませることができる状況が異次元緩和によって作り出され、長期間にわたって維持され続けてきた(p166)2012年度末と2020年9月を比較すると、240兆円も国債残高が増えたが、利払い費は、8.0兆円から7.3兆円に減少した、これが異次元緩和を漫然と継続することができた最大の理由である(p174)

・コロナ危機に見舞われることを想定していない、2016年時点において、10年国債金利が1-2%とした場合、2022年で17.6兆円、2025年には21.9兆円になると見通されていた(p178)

・戦後早々、空前絶後の大規模課税として、動産、不動産、預貯金などを対象に高率の「財産税」が課税された(取るものは取る)、そしてそれを原資に内国債の可能な限りの償還が行われ、内国債の債務不履行そのものの事態は回避された(返すものは返す)、他方、戦時中に国民に対して政府が支払うと約束した戦時補償債務を切り捨てるため、国民に対して政府の負っている債務と同額での「戦時補償特別税」の課税を断行して、丸ごと踏み倒した。これらの課税に先立ち、順番としては一番先(1946.2)に預金封鎖及び新円切替を行なった(p201)

・財産税は貧富の差なく納税義務を負うことになった、累進方式の試算課税だが税上げ総額の観点から見ると、いわば中間層からの税上げ総額が最も多い(p204)

・新円と旧円との交換比率は、1:1であり、デノミネーションが目的ではなかった、しかし国民の手元にある旧円は一切使えなくなった。使えるのは預金口座から引き出すことを許された少額の新円のみ(p206)国民向けに「インフレ抑制」という説明で通した、「敗戦による事実上の財政破綻の穴埋め」とはとても言えなかった(p208)

・多額の内国債を保有している民間銀行を経営破綻に追いやらないために内国債の債務不履行は回避し、かつ、主要銀行については民間銀行に債権放棄をさせ、その原資には本来は、民間銀行が預金者が窓口に払い戻しに来たら全額を払い戻さなければいけないはずの預金を切り捨てることで賄う、預金者である国民の支払いには応じないという方法であった(p211)

・国民に不人気な税制改革の問題は、年末近い短期間に与党の税制調査会で短期間議論して事実上決められてしまう。メンバーは年配の男性議員が中心で、若者・女性・一人親世帯などの多様な国民の意見が反映されることはない、高齢の富裕層本意の視点で税制が決められ続けている(p252)

・60年償還ルールはあくまでも建設国債のみであったが、1975年度から赤字国債が発行され、85年度からは合理的理由もないままに60年償還ルールが適用されて今に至っている(p257)

2023年4月15日読了