・米国株には出口がない、出口がないということは少なくとも3つの合意がある、1)トランプが主導する独裁的ガバナンスや 法の支配の喪失により、 米国株市場にあったはずの信用という制度的基盤が 腐食する状況、2) 割高になりすぎた バブルがはじけた際 買い手がいない リスク、3) 米国の派遣が揺らぎ 次の世界的秩序のモデルが見当たらない時代における米国の出口が見えないという状況である(p5)
・日本の会社法は国レベルで1つにまとまっているのに対し、 米国の会社法は全米共通の連邦 レベルではなく手法のレベルで定められる、 各州は自分たちの州で会社を設立してもらおうとして 企業経営者に有利になる方向に走りがちな傾向がある(p46)
・米国では既存の 上場会社による複数議決権株式の発行については制限があるが、 初めて 上場する時ならばその発行を自由に行える 、中国の アリババグループの250億ドルの上場ができたのも この制度のおかげである(p59)
・ 株式 第一主義は「株主が最後に 経営者をクビにできる」という前提の上に成り立つが、 複数議決権株式 の下では その前提が崩れる。 株主は不満であれば株式を売るしかない、 米国では市場によるガバナンス 規律が空洞化しつつある(p61)
・ トランプ大統領が現実にやっていることを見れば、 米国は同盟国に対して厳しい要求を突きつけて 国際協調主義を乱し 排外主義に走って外国人の入国制限・ 留学生 および外国の研究者の排除 抑制 締め出し が見られる(p85)
・トランプ 肝いりの関税に至っては、 2026年 2月連邦最高裁で違法の判決が下された、輸入業者への還付が認められれば 総額は最大1700億ドルに達するという、 これは関税収入の相当部分を吹き飛ばし 財政にも大きな影響を落とす 、米ニューヨーク連銀の報告ではトランプ 関税の約9割はアメリカの消費者と企業が負担していることが判明した、米国の関税政策は 短期的には 国内産業保護を目指しても長期的には物価上昇と供給網の混乱を招き 国際的な資本移動や制度設計で他国が利益を得ることになりそうである(p87,89,90)
・今のところ 米国経済が好調に見えるのは、 資産家・ テック企業などの一部の富裕層が歴史的な 富の膨張を享受しているだけである、 一般消費者はすでに悲鳴を上げ始めている。 結局いくら 成功だと 宣伝しても失敗を無視で強行する。 その結果 米国の企業がそれを負担するか 価格転換となるだろう。 行き着くところは理不尽な混乱とインフレ や 供給不足で庶民の生活が立ち行かなくなる、 そして中 長期にわたる 不景気となる恐れもある(p93)
・ AI がどれだけ 利益を生むかは今後の課題である、 期待された 生産性向上 が 可視化されないと 機体 先行で膨らんだバブル崩壊 も近い。 一方 中国はDeepseekのような低コストで効率的なモデルにしようと 追い上げている、米国の 物量で押す 投資が必ずしも効率的な勝利を約束するわけではない(p100)
・結論として 米国株は短期的に強力な 官製相場が続いても持続性には極めて大きな疑問符がつく、 しばらく 税還付 と 利下げの余韻で 治療が湧いても「 インフレの再燃」「 財政赤字 への懸念」 「AI の収益化 失敗」 などが重なれば 一気に 調整局面に入る(p101)
・2023年3月 米国連邦議会で上下両院とも 労働者の年金基金の運用者に、ESG を考慮した 投資判断を禁ずる決議が成立したが、 バイデン大統領は 3月 その決議案に初の拒否権を行使した(p108)
・ SOX法によるガバナンス強化、 ドット フランク法による報酬 開示規制、 気候変動や紛争鉱物に関する情報開示義務だとか 導入された、 これらの規制は上場企業を対象とした。その厳格なルールに対して企業側から「 対応 コストが高すぎる」との反発が強まった、ESGに取り組む どころか、証券市場から退出する企業が続出した、 ESG開示の義務化は企業の負担増 となって 頂上 以上 困難にさせ 非公開化する会社が増えた (p117)
・ 東京証券取引所は2022年4月に市場区分を刷新し、 プライム 市場・ スタンダード 市場・ グロース 市場の3区分とした、 2025年3月以降は新基準の完全適用が始まった、 基準未達の企業は 原則 1年間の改善期間を経て それでも改善されなければ 上場廃止となる(p164)
・生成 AI によるゲーム チェンジが起こりつつある、情報収集・ 論点整理・ 仮設づくり・ シナリオ作成が圧倒的に 効率化される。戦略の立案は「一部の優秀な会社だけの特権」だけではなくなりつつある 、日本企業が弱かったとされる経営力・ 人材不足 を AI が補う可能性が出てきた(p205)
・注意しなければいけないのは、 AI がもたらすのは「 情報」「戦略」であって、 利益ではない。 現場が変わらず 業務改革も進まず 利益も増えないなら、 AI 投資は 生産性革命ではなく単なるコストになるだけである(p205)
・日本は米国と同じ土俵で戦う必要はない、 日本にも 、半導体製造装置・ 素材・ 精密部品・工業用ロボットなどの強い 領域がある、 それらの領域は 米国企業が簡単に真似できない。 結局 勝負を決めるのは「 実装」と「収益化」である、 AI で得た知見を「人・物・金」を 動かして現場に落とし込み、 製品やサービスとして利益に変える ここで 企業の実行力が問われる、 この点で 日本には 独自の追い風がありそうである、 米国が生成 AI のモデル開発、 すなわち ソフトウェアの覇権争いをしているのに対し、日本はロボットや工場など 物理 世界に AI を実装する「 フィジカル AI」 という 得意分野を持つ、日本の製造業は「 AI を動かす 手足」 として 再評価される可能性が高い、 これは 機体選考の IT AI バブルではなく 実需を伴う成長である(p207)
・日本は少子高齢化、 人口減少が最大の問題だが、 生成 AI などによるカバーのほか、 高齢化社会を逆手に取った「 医療・ 介護・ 再生可能エネルギー 分野」での成長も見込まれる、自国や他国の失敗事例を踏まえて、 より望ましい 効果的なデジタル化を図ることができる可能性を秘めている(p226)
・今後の日本では当面 インフレが続きそうである、従って 株式投資はその対策となる、ゴールドを買うという発想 もあるが 保管の問題があり 盗難 リスクもある、 それに金 そのものは増えないし 時速 も生まない、 守りにはなるが「増える仕組み」を持たない。 これに対し 上場株式は電子的に管理されるので 物理 資産より管理が容易である(p228)
・大切なことは「自分が将来使う通貨はどちらか」という発想である、日本で暮らし 日本円で生活費を払うなら、 円建て資産を中心にする方が自然である。 逆に将来ドル圏で暮らす 予定があるならどれだけ 資産の記事を高める必要がある(p238)
・トランプ 大統領が 原油高 を容認し、 インフレを煽る戦略を取ったとしても、苦しいのは借金をして自社株買いを行い 利益を底上げした米国企業である。中長期的な金利上昇がダイレクトに経営を圧迫する。原油価格の乱高下はエネルギーを大量消費する米国 社会と米国企業を直撃する。 それに対して日本の企業の「過剰な 現預金」は最強の防波堤になる、 内部留保を抱えつつ 外部の資源高を市場に受け入れさせる「 ガバナンスの成熟」が進んでいる (p248)