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中流危機 (講談社現代新書)

中流危機 (講談社現代新書)の写真

・最も割を食ったのはいわゆる「就職氷河世代」概ね1993年から2004年に新卒で就職活動を行なった人たちである、正社員になれずアルバイト、派遣社員、契約社員などとして職を転々とするフリーターや通学や求職活動もしないニートなどが、他の世代よりも多いと言われる(p14)2023年4月時点で、大卒で概ね41-52歳、高卒で37-48歳である(p52)

・親世代の中流家庭であれば、子供を産み、マイホームを建てることは手の届くところにある夢だった、しかし25年が経ち、今の若者はそもそも「夢すら見られない」という現実に直面している(p38)

・価格競争に巻き込まれた多くの企業は、稼ぎが経る、すると人・設備への投資が鈍化、イノベーションも起きないため、結果として賃金が上がらないという「負のスパイラル」に陥った、失われた30年とは、この負のスパイラルから抜け出せずにきた30年とも言える。どの企業も自社が存続することが最優先となり、元請けと下請けで助け合う、そんな古き良き関係性は失われていった(p68)デフレスパイラル:消費者がお金を使わない→値下げ競争が激化→企業稼げない→給与減る→消費者がお金を使わない(p75)

・社長は自分で判断したことは全部自分に降りかかってくるので、自分が尊敬している人の発言とかメッセージとか、そういうのにすがってしまう。これは歳を重ねても変わらない(p70)

・負のスパイラルから抜けられない原因として多くあるが、軽視できないのは「企業依存型」の雇用システムである、一度採用した正社員は簡単に解雇できない、米国がレイオフ(一時解雇)できるのと異なる、従ってパートタイマーや派遣労働者などの非正規雇用が拡大した(p83)

・1995年に日経連から提言された「雇用ポートフォリオ」によれば、3種の雇用形態(長期蓄積能力活用型:終身雇用正社員、高度専門能力活用型:研究企画など有期雇用、雇用柔軟型:派遣パート社員)を想定した、賃金を抑えられる非正規社員の活用も提言の狙いの一つであった(p89)

・派遣労働は絶えずポジティブリスト(特定の業種だけを許す)を維持しないと低賃金の市場になりかねないと心配されたが、1999年改正のネガティブリスト(特定の業種だけを規制)に転換して理念を歪めた。(p95)

・所得が伸び悩んできたのは、硬直化した企業依存の限界を迎えた1990年代後半にあり、正社員の雇用を重視し非正規雇用という手段でやり過ごそうとしてきた社会のあり方にあることがわかってきた(p101)

・中流復活の鍵となるのが、1)デジタルイノベーション(新たなビジネスモデルで付加価値の高い儲かる事業を生み出す)、2)リスキリング、3)同一労働同一賃金、である(p114)

・自社の強みとなる技術、企業方針を基準としてサービス製品を開発する「プロダクトアウト」ではなく、顧客ニーズを把握し「顧客が求めるもの」を優先して製品を開発する「マーケットイン」の発想が必要(p129)

・今までは単に商品を売って終わりだったが、通信機能によってサービスをアップデートして、付加価値を高めていくことができ、1台で何年もサービスを継続して提供して対価をいただくことで成長する(p130)

・社会人の学び直しに代表される「リカレント教育」は個人の関心を原点とするものであるが、リスキリングは基本的にはあくまで企業は行政が責任を持って行うもので、企業が実施する場合には、業務として就業時間に行うことが必要とされる(p139)失業する前から企業が求めるスキルを獲得するための「労働保険」というべきもの(p157)生涯学び続けるというマインドセットが重要、それにより新しい可能性が生まれるという価値観を実感してもらい、変化のためのパスポートにすべき(p168)

・スマート工場においては、アナログで働いてきた技術者たちはロボットに置き換わり他の仕事に従事する、1番目の目標は、労働者を重労働から解放し、人間工学的に望ましくない作業を機会に行わせる、2番目の目標は、将来的に仕事をより有意義なものにしたい、退屈なルーチンワークは機械が行い、人々には創造性があり責任のある仕事を担う余地を増やす(p155)

・中小企業でのリスキリング成功の秘訣とは、1)具体的な業務のデジタル化からスモールスタート、2)専門チームを作る、少人数から初めて徐々に増やす、3)リスキリング対象者を思い切って異動・配置転換する、4)成果を評価する(p189)

・日本も1996年に、フルタイムとパートタイム労働者の待遇格差を禁止する「労働者間差別禁止法」が制定、2000年には労働者側が時間当たりの賃金を維持したまま労働時間の短縮延長を自己決定できる「労働時間調整法」が制定された。(p205)2018年成立の「働き方改革関連法」により、パートタイム労働者と有期雇用労働者の間で統一的な同一労働同一賃金ルールが「パートタイム・有期雇用労働法」に規定された、ポイントは、1)不合理な待遇差の禁止、2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化、3)裁判外紛争解決手続きの整備、であり、この改正法は大企業では2020年4月、中小企業では2021年4月から適用されている(p212)

2023年9月30日読了