・心身ともに自立して健康でいられる年齢を「健康寿命」と言います、男性が72歳、女性が75歳(令和元年)、誰かの介助が必要になることを示している。もう少しわかりやすく言うと、病気や認知症で寝たきりになるレベルでなくても、身の回りのことを一人でできなくなり始める平均年齢を表している(p17)
・自分の老いを嘆き、あれができなくなった、これだけしか残されていない、と「ないない」を数えるよりも、自分の老いを受け入れつつ、まだこれはできる、あれも残っていると「あるある」を大切にしながら生きる人がいます。筆者のこれまでの臨床経験では「あるある」で生きる人の方が幸せそうに見えました(p23)
・代り映えのしないつまらない生活をしていると脳の動きは鈍る、ストレスの多い生活によっても脳はダメージを受ける。反対に新しいことや好きなことをすると、脳は刺激を受け、活性化する。これによって認知症の発症を遅らせることは可能だと考えられる(p29)
・財政破綻した夕張市では171あったベット数が19に減った、三大死因の「がん、心臓病、肺炎」は減ったのに、全体の死亡人数は変わらなかった。つまり他の原因で亡くなる人が増えた、その原因は「老衰」で亡くなった(p43)
・幸齢者(筆者が高齢者を呼ぶときの造語)に必要なのは「勇ましさ」より「穏やかさ」「癌と闘ってくれる医師」ではなく「がんで苦しまぬ方法を共に考えてくれる医師」である(p47)幸齢者になったら、大学病院の専門医ではなく、地域のいわゆる「町医者」をかかりつけ医にしたほうがいい(p54)
・コレステロール値が高めの人の方が長生きできると言う調査は数多くある、コレステロール値を下げれば免疫機能が低下する、するとガンが進行したり感染症にかかりやすくなる(p60)80歳を過ぎた幸齢者には「なってから医療」と言う別の考え方が必要である(p64)医師が血圧、血糖値、コレステロール値を下げようとするのか、答えはアメリカ型の医療原則を適用しているから、アメリカ人の死因の第一位は心筋梗塞なので、それらの値を下げることは長寿につながる、日本人は癌でありアメリカとは事情が異なる(p68)
・乳がんの温存療法は排斥運動が行われたが、彼を排斥した教授たちが皆引退してから日本でも温存療法が標準治療となった、肺やその他の臓器も同じような状況である。若い時ならまだしも、80歳を過ぎて臓器を取られたら、これまでのように生活はできないのは明らか(p72)
・健康診断は確かに60代までは大きな意味を持つが、80歳を超えたらほとんど役に立たない。その理由は、正常と異常の境界線について。正常とは、多くの場合平均値を中心に高低95%の人の数値を言います、80歳を過ぎて元気に生きている人は、それ自体が健康な証拠である(p78)
・かつては血圧150くらいで血管が破れることがあったが、それは昭和30−40年代の日本人の栄養状態が悪かった頃の話である、今では動脈瘤がないかぎり200でも破れることはない(p79)
・かつては糖尿病の人の方がアルツハイマーになりやすいと言われていたが、今ではなりにくい、と言うことが次第にわかってきた。(p85)
・臓器を取り替えていけば120歳くらいまで生きられるはずだが、そんな時代がきても唯一脳だけは取り替えることは難しい、新しい脳を育てても中身は空っぽだから(p87)
・85歳を過ぎて亡くなった人の遺体を解剖すると、体のどこかに癌があり、脳にはアルツハイマー型の病変が見られ、血管には動脈硬化が確認できる(p92)
・すぐにでもやめたほうが良い我慢とは、1)薬の我慢、2)食事の我慢、3)興味あることへの我慢、である(p93)
・歳をとったときの最大の財産は「思い出」である(p107)
・連続飲酒は良くない、連続飲酒とは「毎日のむ」のではなく、「一日中飲み続ける」こと、これは絶対に避けること(p114)
・適度な運動は、体内で活性酵素を作りすぎ、体を酸化させてしまう、スポーツ選手に年齢より老けて見える人が多いのはこのため。80歳をすぎるとウォーキングくらいがちょうど良い、お散歩である(p122)
・心を安定させるには、悪いことより良いことを考える、例えばお腹が痛い時に「痛い」と考えると痛みが増し、他のことを考えると痛みを忘れてしまうという現象がある。これは人間の脳の特性によるもの、脳は同時に二つのことに注意を向けることが苦手である(p133)過去の悪い感情に囚われている場合の対処は、忘れようとするのではなく「他のことに目を向ける」というのが正しい方法である、記憶を消すのではなく新しいことを上書きする(p133)
・人間は「何円損をしたか」よりも「何円得をしたか」と言う絶対的な金額よりも「無くなった」とか「増えた」という差に反応する(p135)今を幸せと感じるか、不幸と感じるかは、過去との差をどう考えるかによって違ってくる、晩年にすべきことは、無くなったことでなく、増えたことに目を向ける(p136)
・自分の考え以外にも正解がある、と思うこと、選択肢は一つだけなく、いくつもある、と考える(p140)遺言などの大事な意思決定は、その都度、日付を入れて書面に残しておくべき(p154)
・認知症の本質を一言で表すなら、変なことをしたり徘徊する病気ではなく、「だんだん何もしなくなる病気」である(p161)
・82−83歳で急激に衰える人が目立つが、その人たちは大概、80歳になったのを機に、色々なことをやめてしまう人である(p176)
・お肉を食べないとタンパク質が不足し、筋肉量や骨密度がへり、転倒や骨折をしやすくなる(p195)
・元気な幸齢者も例外なく「学び」の人であった、常に何かに興味をもち、行動する、行動には思考が伴い、やれば必ず気づきがある。うまくいってもいかなくても、次につながる。学びとは、誰かに教わることではなく、自分で得るものである(p203)
・自分の経験を生かすにいは、「〇〇しなさい」と説教するのではなく「00したらこうなった」と優しく語ってあげればいい、実体験はお金で買えない、それには知恵が詰まっている、人生で得た宝である、それを分け与えてあげましょう(p208)
・年を取れば取るほど、個人差が大きくなる(p221)
・AIは、パソコンやスマホなどのITと違って、こっちがやり方を覚えていなくても、向こうがやり方を教えてくれるものだから。つまり、いろいろなものが自分をサポートしてくれるわけで、そうした「文明の利器」を使って生きることは人生を真っ当に生きることになる(p222)
2022年9月15日読了