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summary

クマゼミから温暖化を考える (岩波ジュニア新書 833)

クマゼミから温暖化を考える (岩波ジュニア新書 833)の写真

・大阪では、ここ数十年の間にクマゼミが著しく増加し、他のセミが少なくなったっことは間違いない。この現象は西日本の多くの大都市で起こったと思われる(p11)

・クマゼミのかつての北限は、太平洋側では神奈川県、日本海側では福井県であった。その間にある、長野県などの山岳地域には分布していない(p11)

・クマゼミの場合、カメムシやチョウが自分で移動して分布を北に広げているのとは少し違うように思える(p17)

・植物の液体成分を吸う昆虫の多くが光合成で得られた栄養の通り道である師管の液体を吸うのに対して、セミは根から吸い上げた水の通り道である道官の液体を吸うから、樹木に顕著な害が見られない(p21)

・地質学では、地上のどこかが氷床でおおわれている冷涼な時代を氷河時代と呼ぶ、縄文時代には日本の平野部のかなりの部分が海水下にあった(温暖化)が、約2000年前の縄文時代の終わりから弥生時代にかけて寒冷化が進んだ(p33)

・もし大気がなかったら地球の表面温度の平均はマイナス19度程度、現在の14度との差は33度にもなる(p36)

・ヒートアイランド(人口排熱)よりも都市に暑さをもたらす要因は、地表面が人工化した(道路がアスファルト化、コンクリートの建物)したことによる(p39)

・水1グラムが水蒸気になる際には、0℃でも暑い30度でも、580カロリーの熱を奪い、環境温度に大きく左右されない。暑い環境でも水の気化熱を利用すると効率よく熱を放出できる(p40)

・都市化が進んで地表面がアスファルトやコンクリートで覆われた結果、雨水はしみこまずに直接下水道へと排出されて、晴れると地表面はすぐに乾くので、水の気化熱として奪われる熱が少なくなった。さらに建物によって空気の流れ(風)が妨げられることで暑い空気が停滞してヒートアイランドとなる(p41)

・COP21(パリ協定)では、1997年の京都議定書と異なり、全ての国で温室効果ガスの排出量の削減が約束された(p69)

・社会から要請のある、経済的な利益に直接つながる研究だけをしているのでは科学全体は発展しない、理由として、何が人類の役に立つかは長い年月がたって初めてわかるもの。電磁誘導がその例で発明者のファラデーは答えていない。発電は全て電磁誘導の応用である(p98)

・クマゼミは冬の寒さに弱くて、かつての大阪では冬の間に多くが死んでいた、という考え方は間違っていたと結論された(p121)

・大阪でも場所(大阪市内公園、大阪城公園、大阪市立大学、牧岡山(下・上)、箕面山)によって、セミの抜け殻の種類が異なる(p136)

・土の硬さが最も、クマゼミの割合と関係性が高かった。他のセミの一齢幼虫が土に潜りにくい状況にあり、硬い土にも潜れるクマゼミが増加した(p137、141)

・温暖化によってクマゼミの卵の発生が速くなり、一齢幼虫の生存に好適な梅雨の時期に孵化できるようになり、一齢幼虫の生存率が上昇したこともクマゼミの増加の要因である(p158)

・アブラゼミの死骸の98%が鳥に食べられたものであったが、クマゼミの半分以上が他の死因であった(p163)

・結論として、都市の温暖化・乾燥化・そして土が硬くなったことが、クマゼミ増加の大きな要因であると考えられる(p164)

・東京では、大阪と異なり、ライバルとして、アブラゼミに加えてミンミンゼミがいるので、同じ結果になるとは限らない(p166)