・ウェブの凄さは、それが発明だけでなく生産の手段をも民主化したことである。事業アイデアがあれば、ソフトウェアのコードを組むだけでそれを商品化できる、特許もいらない、キーボードを押すのみで、グローバル市場にいる数十億人の消費者に出荷できる(p13)
・ウエブがビットのイノベーションを民主化したように、3Dプリンターやレーザーカッターといった、新しい種類の、ラピッド・プログラミング(迅速な試作品作り)の技術が、アトムのイノベーションを民主化しつつある(p22)
・製造業は、大企業と熟練工にほぼ独占されてきた、それが今変わり始めているのは、モノづくりがデジタルになったから。工場や工業デザイン会社で行われてきたことが、個人のデスクトップや工房で行わるようになりつつある(p27)
・世界中で開かれる「メーカーフェア:工作フェア」のムーブメントを認めたオバマ政権は、2012年のはじめ、今後四年間で1000か所の学校に、3Dプリンタ・レーザカッター等のデジタル工作機械を完備した工作室を開くプログラムを立ち上げた(p28)
・今日でもアメリカ経済の4分の1は、ものを作ることで成り立っている。それに流通と小売を加えれば全体の75%になる。(p35)
・リアルタイムなモノづくりのプロセスが、デジタルな創作なプロセスに似てきた、有能な少数の人々がインターネット接続とアイデアだけで世界を変えるというイメージは、製造業にも当てはまるようになってきた(p37)
・3Dソフトでデザインしたものを、ローカル出力(自宅の3Dプリンタか、その他のデスクトップ工作機械で試作品を一個作る)か、グローバル出力(製造サービス会社に送って一定個数を生産してもらう)は、ユーザーが選ぶことができる。これを自由に選べることは、3世紀分の産業革命をクリック一つに凝縮したものである(p38)
・以前は自分の発明を特許で守るしかなかったが、それにはお金も時間もかかった。今は、オープンソースのライセンスのもとで、全てをオンラインで公開する(p43)
・工場労働は過酷で労働者は劣悪な環境のもとで長時間労働を強いられた、だが統計からみると、農場労働はさらに過酷だったとわかる(p51)
・産業革命が生み出したのは、なににも増して長時間の余暇である、それが近代を象徴するほぼ全ての発明に繋がった、400年前はほぼ全員が生存のための必需品の生産にかかわっていた(p55)
・第三次産業革命とは、デジタル・マニュファクチャリングと、パーソナル・マニュファクチャリングが一体となったときにこそ起きるもので、それがメイカームーブメントの産業化といえる、モノづくりのデジタル化は、既存の製造業の効率を高めるだけでなく、作り手の数を劇的に拡大している、普通の人々が起業家になりつつある(p57)
・高品質のデスクトップカラープリンターがより安く、より使いやすくなった。キラーアプリはニュースレターや、チラシ作りではなく、デジタル写真であった(p76)
・ついこの間まで、世界最大規模のコンピューティング施設は政府や巨大企業であったが、いまではそれが皆のために働いている、それこそ「デスクトップ」が果たした役割である(p77)
・いまの3Dプリンタは、25年前にジョブズのマッキントッシュとレーザーライターがいた場所にいる。3Dプリンタがレーザープリンタよりも短期間のうちに、より良くより安くなることだけは確かである。インクジェットプリンタと、機械的にも電子的にもあらゆる基本的なテクノロジーを共有しているから。違うのは、使用する液体(インクでなく液状プラスチック)と、高さを出すためのモータのみ(p77)今の3Dプリンタが、昔のドットプリンタのようなものである(p81)
・産業が民主化され、企業や政府やその他の組織によって独占されていたものが普通の人々の手に移るとき、変革が起きる(p82)
・物質的なモノの品揃えが限られていたのは、20世紀に特有の3つのボトルネックがあったから、1)大量生産、2)大量流通、3)消費者の目に留まる(広告、販促を通じて)(p84)
・どんな場合でも、自分が骨を折ったものには、より高い金額を支払う、これが「メーカーズ・プレミアム」である。コモディティ化に対する究極の対抗策である(p92)
・デジタルなファイルはだれとでも共有でき、何度コピーしてもコストはかからず、品質も劣化しない。それより重要なのは、簡単に変更を加えられること(p96)
・需要が分散されたニッチ市場でグローバルに展開する家内工業をなんと呼ぶべきか、提案されたのが「スモールバッチ」これは、バーボンの製造に使われる言葉である(p102)
・3Dプリンタの解像度が、およそ50マイクロメートル(髪の毛)なのに対して、自然の造形物は、それより1000倍精巧で、数十ナノメートル(p107)
・3Dプリントや、その他のデジタル製造技術にできないことは、規模の経済が利かない、1000個つくるのも1個作るのも同じ、射出成形を例にとると、500以上で3D印刷よりも安くなる(p114)
・費用が20ドルなら、小売価格は25ドルではなく、46ドル(60%の利益を想定して価格設定)にしなければならない、はじめに適正な値段をつけないと商品を製造しつづけられず誰もが損をする(p139)
・ビットは全て無料でオンラインで公開される、それを支えるのは、公開と共有を条件に原則として無制限の利用が許可されるライセンスである。一方で、物質的な製品(アトム)は有料で販売される、現実に発生するコストを回収するため(p140)
・特許の目的は、発明家に金を儲けさせることではなかった、発明を公開しなければもっと儲かるので。発明家に発明を公開させ、他者が学べるようにすることが特許の目的であった(p141)
・オープンソース化することで、無料の研究開発機能を手に入れることができた、より多くの人に届き、人を惹きつけ従来型の研究開発よりもはるかに速くイノベーションを生み出す好循環が起こせる(p143)
・試作品を作るまでは以前と同じだが、工場を建てる代わりに、電子部品の製造を業者に委託し、組み立ても委託する(p160)
・ローカルモーターズのコミュニティは、本業でない人にも車をデザインする機会を提供している、昼間の仕事にしていないだけ、夜になれば情熱に従って自由に車をデザインできる(p168)
・買い手自身が少なくとも50%をつくる車は、あらゆる種類の規制を免除される(p170)
・ローカルモーターズの電気自動車では、ガソリンエンジンにかわって電気自動車が車輪を動かし、ガソリンタンクのかわりにリチウムポリマー電池、ソフトウェアが駆動系のすべてを操る。電気自動車は、単独の車両ではなくネットワークの一部とも考えられる(p174)
・100パーセント純粋なテスラ電気自動車は、従来のガソリン車よりもはるかにラップトップPCに近い。エンジン、変速機、駆動系の機械部品の代りに、リチウムイオン電池、電気モーター、電子部品とソフトウェアを搭載している(p177)
・テスラ車に必要なパーツの大部分は、テスラ工場で内製されるので、大量の部品の在庫は必要ない。究極のジャストインタイムである(p178)
・コンピュータ業界から派生した製品に特化することで、テスラの製造する部品は簡単に設定が変えられるものばかりになる。モデルSの性能は複雑な駆動系のメカではなく、ソフトウェアによってもたらされた。こういう流れによって製造業の未来として、アメリカ等の高コストの国々の競争力が高まる、ロボット技術がそれを蘇らせている。(p182)
・かつては海外の工場労働力だけが安く手に入った、いまは海外の天才が安く手に入る、安いというのは給料が安いというのではない。彼らはボランティアとして参加するので、まったく金を受け取らない、食べていくための仕事は別にある(p192)
・デジタルなモノづくりによって、全員が同じ土俵で競争できる。重要なのは、自分たちがライバルに勝るものはなにかということ(p205)
・キックスタータは起業家の抱える3つの大きな問題を解決してくれる、1)お金が必要な時、前倒しで収入をもたらせてくれる、2)顧客をファンのコミュニティへと変えてくれる、3)市場調査のサービスを提供してくれる、資金調達目標に到達しないプロジェクトは市場で成功しないことがわかる(p215)
・クラウドファンディングにおいて、投資家(お金を出す人)は、企業へではなく製品へ投資する。正確には「製品アイデア」である。彼らはお金による見返りではなく、製品そのものによる見返りを求める(p223)
・キックスタータのルールとは、1)期限を決める、2)目標調達額を決める、3)期限と目標調達額をかならず守る、4)寄付金の金額に応じて何段階かの異なる見返りを約束する、5)支援者にプロジェクトへの所有意識を持ってもらう、予約注文であり支援活動である(p224)
・今日MFGドットコムが成功している一番の理由は、製造業のサプライチェーン中のすべての参加者が、CADから電子機器まで、全て同じファイル形式を使っているから。情報伝達ロスがなくなり、取引コストが下がった、デジタルなモノづくりでは全員が同じ言語を話す。極めて効率の良いB2B市場という夢が現実となった(p267)
・僕らはいま世界をふたたびフラット化しつつある、オートメーションのおかげで製造業に占める人件費の割合が少なくなり、輸送費や時間といった要素が重要になる(p288)
・中国がいまだに電子部品、おもちゃ、洋服まで優位性を保っているのは、だれにもかなわないサプライチェーンを持っているから(p289)
・ロングテールが示すように、新しい時代とは、大ヒット作がなくなる時代ではなく、大ヒット作による独占が終わる時代、ニッチな製品は集合として、工業経済を根本から変える(p291)
・本当の革命は、実体経済に影響を及ぼすとき、つまり、もの作りのやり方が変わるときに起きる。デスクトップと工作機械が結びついたとき、それまで大企業のものだった製造手段を個人が持つようになり、ビットの世界で起きていた革命がアトムの世界で起きる(p309)